双子の姉妹
 


「助けてえええええ!!」


そんな私の悲鳴が響いた真昼。

お散歩で近くの森をうろうろしてたら、初詣の時に会った巫女さんを見かけた。
わあ!挨拶しよう!なんて追いかけたのがいけなかったみたい…。
結果、後ろから来た修道女、シスターに何故か殺されそうになってます。
凄い!殺される時って何か時間が凄いスローに見えるね!
こんな事考えていられるぐらいの余裕を感じる!
逆に冷静なのかな!?おかしいね!?


「来世なんてないけどまた会いましょーっ」

「無理ですううう!!」


あ、でも本当にもうダメ!
そんな時、シスターさんの後ろからカツンと言う音が聞こえた。


「……恋ちゃん?」

「え…?」

「恋ちゃん…恋ちゃん…そっちかなあ?あはっ、あははっ」


……ギリギリセーフ?
私へ降り下ろそうとしていたナイフを止めて、その人は笑みを浮かべながら音の方へフラフラと歩いていく。
えっと…怖い…!


「……お姉さん、こっち…」


…今度は物影からあの巫女さんが出てきた。
た、助かったあ!きっとこの人はいい人のはず!
そんな確信を持った、私は巫女さんに導かれて無事に森を脱出した。


――――――――――――


「…着いた、よ」

暫く歩くと、見慣れた道に出た。
神社に着いたみたい。
部屋に入れてもらって(良いのかな)、落ち着いた頃に巫女さんがぽつぽつと話し出す。


「巻き込んだ…ごめん、なさい」

「え、えっと…私が勝手に追いかけて勝手にああなっただけだから!謝らなくて良いよ!大丈夫!」

「そう…でも、追い掛けてた、人。お姉ちゃん、だから」


あれお姉ちゃんだったの!?
いや凄い失礼な事思っちゃった!あれって、あれって…。
じゃあ、この子の名前はお姉ちゃんの言ってた恋ちゃんなのかな。
……何で追い掛けられてるんだろう。


「名前、恋ちゃんで良いんだよね?」

「うん、恋。蘭 恋(あららぎ れん)。姉は、小夜(さよ)。双子…」


双子!成る程…服装、髪の色…対称的な感じ。
あまり似てないけど、こう言うのも双子っぽさなのかな。
でも、双子って聞くととっても仲良しいつも一緒!って感じのイメージなんだけど…。


「あ、私はクレハって言うんだよ!よろしくね!それで…恋ちゃんは何でお姉ちゃんに追い掛けられてるの?」

「分かんない。昔は、仲良し、だった。今、おかしく、なった。小夜、ぼくを、殺したい、みたい?」

「物騒!」

「だから、逃げてる」

「そ…それは逃げた方が良いね…!!」


…話を聞いた感じ、と言うか見た感じからしても複雑な事情があるみたい。
な、何か力になれないかな…。
と、そんな事を考えていた時、恋ちゃんが顔を上げ呟いた。


「…来る」

「え」


一体何が来るの、聞こうとしたその瞬間障子が吹っ飛ぶ。
あ………成る程。お姉ちゃんが来るって事だったのね。
修道服を着たお姉ちゃんが、ニタニタと笑って立ってる。


「恋ちゃーん遊びに来たよお。駄目じゃない変なのと遊んじゃあ…」

「はぁ…クレハ、さん。そこから、逃げれる」

「でも恋ちゃんは…」

「平気。早く」

「う、うん。気をつけてね!」

「うん」

「あはっ、いくよお」

「…障子、弁償、してもらう」


急いで教えてもらった場所から飛び出す。
それと同時に戦いが始まったみたいで、物が倒れたり、壊れる様な音が聞こえた。
…本当に大丈夫かな。
だからって戻っても何も出来ない。
うーん…そ、そうだ、一度帰ってアイリスちゃんと一緒に来よう!
それなら、何とか出来るかも!
…完全に任せきりだけど。
何も出来ず逃げた事も含めて、とてもしょんぼりした。
ああ…無力だなあ…。
私も少しは自分で出来るようにならないと。
もし、能力があったら友達の為に使ったり、誰かを助けたり…考えるだけならいくらでも出来る。

…とにかく、一度帰ろう。
それで、あの子を助けに行かないと。





(ただいまーあれ!?)(お邪魔、してます)(困っていた様なので匿う事にしました)(大丈夫!無事でよかったー!)



前へ 次へ

[ 10/68 ]






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -