何よりも大切なのは…


※審神者ちゃん=現世からトリップしてきた女子高生という無理矢理設定。
色々と設定が怪しい。


今日は主が仰っていた「ほわいとでー」だ。
ほわいとでーとは前の月にある「ばれんたいんでー」で女性からちょこれいとを頂いた男性がその女性にお返しをするという現世の行事だと主は教えて下さった。
最初それを聞いた俺は何故その様な物々交換を月またぎでせねばならないのかと疑問に思ったが、ちょこれいとを持っていた審神者様は「…好きな人に想いを伝える行事なんだよ。」と耳を真っ赤にさせながら微笑んだ。


その刹那、俺も主につられたかのように顔を赤く染めた。ああ…何でこの方はこんなにも愛しいのだろう。相手が俺で良かったのだろうか。いや、他の者に渡すわけにはいかない等と自虐と独占欲が入り交じった感情になっていた。やはり俺は審神者様が大好きだ、愛してる。


「これを…、俺に?」
「うっ、うん…口に合うか分からないけど。」
「いえ、主に頂いた物は全て俺にとって至福ですよ。」
「っ!も、もうっ…!」


恥ずかしさを隠す為からか審神者様は俺の胸元をポカポカ叩き始めた。そのお姿に笑みをこぼしながら俺は先程頂いた箱の封を開けてちょこれいとを口にした。口内にじんわりと広がる甘み…まるで目の前の可愛らしい女性に恋焦がれていたあの時の甘ったるさに似ていて思わず顔がにやけてしまった。



そして、ほわいとでー当日。
主がお傍にいて下さったおかげでちょこより甘かったばれんたいんでーを過ごす事が出来た。俺も全身全霊で審神者様を喜ばせてあげねば…!俺はいつも以上に張り切っていた。


「あの、主…。」
「ん?長谷部、どーしたの?」
「今日はほわいとでーですが何かご所望の物はございますか?」
「へ?」


俺は張り切っていたが、審神者様の喜ぶことを考えていたら最終的に本人に直接聞いた方が良いのではないかと結論づけた。
そんな俺を面白半分で見ていた燭台切が「そんなんだといつか審神者ちゃんに嫌われちゃうよ?」と冷やかされたが「主に限ってそんなことをするわけが無い」と切り捨ててきた。


「ふふっ、長谷部らしい…あははっ!」
「なっ!俺は主のことを思って…!」
「分かってるよ。うーん、じゃあお返しは…耳貸して?」
「…?はい。」


「これからも長谷部が一緒にいてくれれば何もいらないよ。」
「……!!」



貴方がいればそれでいい。
(長谷部、顔真っ赤…。)
(さ、錯覚です…!)
20150314



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