似たもの同士


前回の後日談のようなもの。
単体でも読めるようになっています。


私と長谷部が両想いになってから数日が経った。
最初こそバレないようにしていたが、徐々に周りの子達も何となくそれを察し始め、今では私の傍に長谷部がいれば何か用があったとしても引くようになった。まぁ、二人っきりになれるのはとても嬉しいんだけど同時に気遣ってくれる皆に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。今日だって長谷部がくっついている{近侍だから仕方無い}せいで誰も近付いて来なかった。あの無邪気な短刀達でさえも遠巻きから此方を伺っているだけである。


「あの、さ、長谷部…。」
「はい、何でしょう?」
「最近皆が私の近くに来ない理由知ってる?」
「知っていますよ、俺が牽制しているから…でしょうか。」


やっぱりこいつのせいか!予想はついていたので驚きはしなかったものの代わりに呆れ返ってしまった。元々恋仲同士になる前も私に対して独占欲が働いていた長谷部だったが、近頃は更にそれが強まっている気がする。好きな人からそうされるのは嫌ではないけど他にも構ってあげなくちゃいけない子達もいるわけで、審神者である私は頭を抱えた。


「あのね、長谷部…私のことを大事に思ってくれてるのは分かるけど他の子達を邪魔にしちゃ駄目よ。」
「…すみません、俺の軽率な行動で主が困っていらっしゃるのは知っておりました。しかし、他の者に審神者様を奪われたくなくて…。」
「…っ!」


なんなんだこの子は…!今の私には彼の頭にしゅんと垂れ下がった犬耳が見える。何回もこの光景を目の当たりにしているが必ず私の心を射止める忠犬へし公…おそるべし…。うう、頑張れ審神者!長谷部ばっかり贔屓にしちゃいけないのよ!


「その気持ちは嬉しいけど…長谷部が幸せな思いをしている時に寂しい思いをしてる子だっているの。審神者として皆の事を平等に見てあげたい、私の言ってること一番近くにいる貴方なら分かってくれるよね?」
「……て、…か。」
「ん?長谷部、何か言った…?」


私が今まで言いたかったことを長谷部にぶつけると、コクコクと頷きながら話を聞いてくれた。
全て言い終えた頃には彼は俯いており、胸がちくりと痛んだ。傷付けるようなこと言っちゃったか…優しく言ったつもりだったんだけどな、と反省した。その間、彼は何か言っていたみたいだったが小さくてよく聞こえず顔をずいっと近付けてみるといつも凛としている顔が真っ赤に染まっていた。まるで熟れて熟したトマトのようだった。


「夜、二人でいる時は…甘えても、いいですか?」
「…っう!?」


今度は私が赤くなる番だった。ああ、こんな可愛いこと言われちゃうと私も長谷部ばっかり構ってしまいそうだ。いやいや、それは駄目だと言ったばかりだもん!守らないと!と私の中で激しい葛藤が繰り広げられた結果、二人っきりの時なら問題ないという結論に至り私が頷くと彼は嬉しそうに顔を綻ばせた。
お互い溺れ合っているんだとしみじみ思った今日この頃であった。


今日も幸せです。
(じゃあ、私も甘えていい?)
(勿論、沢山甘やかしてあげますよ。)
20150309



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bkm
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