真っ黒の世界


※闇堕ち長谷部、刀剣破壊描写注意。


私の目の前に鮮血が散る。それが光忠のものだと分かった頃には彼は地面に打ち付けられていた。急いで駆け寄ると受けた傷が深いのか血だまりが広がっていくのが分かった。


「光忠っ!!」
「くっ、審神者ちゃん…君は、ここに居てはいけない。」
「いやああああぁっ!光忠ぁ…。」


私は光忠を斬った張本人を涙で霞んだ瞳で睨み付ける。その瞳に映る男は刀についた血を舐め取りながら此方に目を細め微笑み返した。


「何で…長谷部…。」
「主、もう決めたんですよ。来る筈のないものを待つのをね。」
「え…?」
「俺は審神者様のお傍に居たい…しかし、主はいつか何処か俺の手が届かない所へ行ってしまわれるかもしれない。それならば、主に歯向かい歴史修正主義者の思惑通りにさせて貴女達の進行を止めるのが一番だと思ったんです。」


意味が分からなかった。どうして私の一番の近侍として居てくれた長谷部が裏切る必要があるのだ。今までだって私の為にと先陣を切って戦ってくれていたのに…止まらない涙と腹の底にこれまでにない恐怖を抱えながら私は思考を巡らせた。


「まぁ、貴女と二人きりになりたいので他の刀剣達を全て壊してからあいつらも蹴散らしますけどね。取り敢えず邪魔な刀剣達を破壊するのが先決ですので。」
「壊す…?破壊…?」
「だって他の刀が居ると俺は審神者様の一番にはなれないでしょう?現にその男が邪魔だったが、もうそいつの命は長くないだろう。」
「…!?」


長谷部から告げられた言葉と同時に光忠に目を向けた。彼は息が絶え絶えになっており、彼の言う通りもうそんなに長くはないだろう。自分が無力なせいで光忠をここまでさせてしまった情けなさ、悔しさ、申し訳なさにでごちゃごちゃになった感情のまま彼を思い切り抱き締めた。


「さて、主…そろそろ本丸に帰りましょう。報告する事が山積みですよ。」
「………。」


私はこれからの起こることに身震いをした。長谷部がふざけているようには見えない。本気だ。
どうか、皆…私達が帰る前に何処か遠くへ行ってと無理な願いをするしか私には出来なかった。


破滅へのカウントダウン。
(思い出すのは貴方達の楽しそうな笑顔。)
20150319




prev next

bkm
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -