ハロウィンの話


拍手2023.10/30-2024.8/14掲載
(本編まだまだなのに恋人未満なお話)

「My dear!Happy Halloween!!」
「帰れ」
「おい!そりゃねぇだろhoney!」
 グリッターオアシスは絶賛ハロウィンシーズン。
 どこもかしこもハロウィンで大騒ぎだ。
 んでやっぱりパリピのこいつもハロウィンで大騒ぎだ!
 なんだか知らないが黄色い衣装を相変わらず腰巻きにして何処かで見たことのある黄色と黒の耳のカチューシャを奴はしていた。
 …ピカ○ュウ!?
 やめろ上半身裸のピ○チュウなんて!
 閉めようとしたら、がっと足を滑り込まれて強制的に扉を開けられてしまった。
「早く帰りなさいよ、足潰れるわよ!」
「帰らねーよ!」
「大体アメリカのハロウィンのいたずらは本気度違うんでしょ、マジで勘弁して!」
「なんだよ、あま〜いいたずらは嫌か?」
「嫌よ!てか大体あんたはTrick or TreatじゃなくてTrick but Treatでしょ!」
※Trick but Treat=お菓子くれてもいたずらする
「よく分かったな!」
「もう!」
 よく分かったな!なんてあっさり開き直るこの男。
「まあとりあえず分かってるだろうけど!
俺とハロウィンパーティーしようぜ!」
「だから嫌。」
「そんな事言うなよ!もう衣装ダチに頼んで作ってもらったんだぜ!」
 差し出された袋。
 誰が作ってくれたんだ!?そんなコネこいつ持ってんの!?
 …あるんだろうな…パリピだし…。
「着てくれよ〜!た〜の〜む〜!」
「作ってくれたダチもどうして作ってくれたのよ…」
「俺達の仲を応援してくれてるんだぜ!…お願い♡」
「うぐ…!」
 最近こいつ、お願い攻撃し始めた。…それに応じてしまう私も私だ…。
 いや着なきゃわざわざ作ってくれたダチの人に悪いからだ。そうだ。と己へ言い聞かせる。
 
 流石に着替えてる所を見られる訳にはいかないので袋を受け取ってから扉を閉める。
「着て出て来るまで帰らねぇからな〜」
「でしょうね…」
 袋から服を取り出す。黒いレースが下から覗く黄色いミニドレスに、袖を通す。…尻尾もついている。ご丁寧に先が割れている。♀仕様か。
「か、肩が…出てる…」
 肩出しなのが気になる!脚もバッチリでてる!
 …それでこのカチューシャするのか。ピカ○ュウの耳は分かる。でもなんでお花をあしらってベール付きなんだ。
 とりあえずカチューシャを着けて扉を開けた。
「着たわよ…」
「待ってたぜMy dear!…やべ…ちょーかわいい…激写ぁ!」
「ちょっと!」
 パシャパシャパシャとスマホでエンジェルは私を激写する。
「うわっ!」
 そしてガバっと体が浮いたと思ったら、こいつは私をお姫様抱っこしていたのだ!
「よし!このまま行こうぜ!」
「ちょっとぉ!自分で歩けるからっ!」
「俺がこうしたいんだよ!」
 アパートから私を抱えて下ると、私はビュイック・リヴィエラの助手席に乗せられ、こいつは街に向かってクレイジーダッシュしたのだった。

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