準備を進めよう


「ふう、買えた買えた♪」
 車の整備に必要なオイルを揃え、店を出る。
 車に乗って、街の方へ駆け出してみる。
 …大きくて金髪の、タトゥーを入れた人とすれ違った。あ、まだ挨拶してないこの人が最後の一人かな…!?あー、挨拶したいな。ビックスバイトさんはやめとけって言ってたけどね…。
 あ、そうだガソリンも給油しとこうかな。
 目についたガソリンスタンドに停めようとした。
 すると。
 ガソリンスタンドの目の前にある建物のヴィジョンに何かが映った。
『こちら、うららです。ただいまここ、グリッターオアシスにてモロ星人の出現が確認されたとの情報を受けました!』
 は!?あのモロ星人が侵攻しに来てるだとぅ!?
 冗談じゃねぇ!!本当に早い所グリッターオアシスを出ないといけない!
『このカジノと大自然で有名なグリッターオアシスが侵攻されているとあらば一大事です!』
 いやほんとだよ、クレイジータクシーは観光業でもある訳だし、そんなことしたらキャビーの皆商売上がったりだよ!
 …いや、エンジェルをアブダクションしてくれないかなモロ星人。いっそ。
 今リポーターのうららがいるのはあの湖の自然地帯の方かな。
 敢えて街の方に出てこない辺り、モロ星人は考えてるな…!?
 そこに突然鳴り響くブレーキ音。
『…!これはグリッターオアシスの名物、クレイジータクシーです!噂通りのすごい勢いのイカれた運転ぶりです!
…は!なんということでしょう!モロ星人が乗っています!!』
 …え???
 映っている車はビュイック・リヴィエラでなんと乗車している客はモロ星人で…え???
『オーライ!ここで良いかお前ら!』
 ………。なんでエイリアンとにこやかに話しているんだ、赤い悪魔・エンジェルよ。もうだめだ!情報量が多過ぎる!!
『タクシーにモロ星人が乗っています!』
 うららの叫びが聞こえる。そりゃそうだ、人間が侵略者と仲良くしてたら驚くだろう。
 そしてビュイック・リヴィエラから降りていくモロ星人。
『モロ星人が降りていきます!一体何をする気でしょうか!?そしてタクシーに乗る彼は脅されてるんでしょうか!?』
 そう言いながらうららは銃を構えている。まあ宇宙では危険な存在が目の前にいるのだからこの反応は当然だろう…!
『What!?あんた何銃向けてるんだ!?止めろって!大事な客だぜ!』
 客って何言ってるんだこの悪魔。もういっそ仲良く宇宙行ってくれエンジェル。
『何言ってるんですか!?エイリアンがぎゅんぎゅん侵略してくるんですよ!』
『は?侵略?全然そんなことしてねーぞこいつら。ほら見ろよ。』
 エンジェルの指差す方向をみると、モロ星人達は湖で釣りを始めていた。
『え?釣りしてますね』
『だろ!?何にもしてねぇって!後はよく皆と踊ってる』
『って、それこそがモロ星人の侵略行為ですよ!』
『そうなのか?よく分かんねぇけど、楽しいなら良いじゃん!』
 良くねーよ!どうすんだアメリカ侵略とか大変な戦争になるぞ!
 …ええ…どうしよう。もういっそスモールアップル(ニューヨーク)に逃げようかな…。あっちの方が遠い!
 ウェストコースト(サンフランシスコ)は比較的近いから侵略されやすい気がする!オーリーキングのレースどころじゃねぇなこれ!スペースチャンネル5も折角放映権ゲットしたのに踏んだり蹴ったりだなこりゃ。
『いやー、なんかさ、こいつら最初に会った時にさ、なんかダチと一緒に踊ってたんだよ。面白ぇ!と俺も踊りに行ったら』
『自ら突っ込んで行ったんですか!?』
『んで、なんかダンスバトルになっちまって!勝ったら悔しそうにしてたんだよ。折角楽しいグリッターオアシスに来たんだから、乗ってけよ!って感じで無理やり乗っけたんだよあいつらを』
『モロ星人を乗せたんですか!?怖くなかったんですか!?』
『考えたこともなかった!でもな、なんか知らねぇけどこいつらが大切そうにしてたテレビみたいな機械、車でぶっ飛ばしちまったんだよ!やべ、弁償か!?と思ったら急にこいつら大人しくなってよ、なんか感謝されたぜ!』
『か、感謝…?それでここのモロ星人は今は大人しくなってると?』
『おう!』
『そ、そうなんですか…』
 うららはなんだか呆れてるような、驚いたような顔をしている。そりゃそうだ。宇宙で猛威を振るってる侵略者と仲良くして地球に平和過ごさせてるとか、最早情報量が多過ぎる。
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