ナユタが白んで消えて行った。
「まさかナユタに会えるとは思わなかったなぁ」
「そうじゃのー。彼女も現実の方が忙しいみたいじゃがのう」
「んじゃ、俺また飛んでくるよ」
「うむ、気を付けてな。わしも休んでから後から追うぞー…ふう」
オウルは一息ついてそのあたりに座った。その様子を見て、ナイツはその場を後にして飛んでいく。
ナイツはナイトピア…ビジター達の構築した夢の世界を飛ぶのが好きである。
「今日はどんな夢に行くかなー…へへ、楽しみだな」
そう言ってナイツはナユタと出会った場所とは違う場所へと向かう。
別のナイトピア。
「あ、くそ…」
ここでもピアン達がナイトメアン達に追い回されていた。
怖がるピアン達。
「おいお前ら!やめろ!」
ナイツはピアン達を救おうと突っ込む。
「かなりの数だな…」
何故か大量のメアン達がいる。
それでも一匹一匹、パラループで消滅させていたのだが。
消滅させるのに夢中で、ナイツはグードルの存在に気付かなかったのである。
「…あ…!!!」
しまった、と気付いた時には時既に遅し。
現れた金色の鳥籠のような…檻。
「くっくっく…あっさり捕まるとは間抜けな奴め」
ナイツにとってはこの上なく憎らしい声が響く。
「リアラ…!!」
赤い禍々しい姿をしたファーストレベルナイトメアン…そしてナイツの片割れ、リアラがいた。
「逃げてきたサード達からの報告を聞いたが、あのナユタが夢の世界に現れたらしいな」
「それがなんなんだよ!」
「…ワイズマン様は再びナイトピアの侵攻を開始する予定だ」
「なんだと…!」
ワイズマン…ナイツやリアラ達の創造主である。
そして、悪夢の世界…ナイトメアの支配者である。
「何度も倒されてんのに、しつこいな…!そんなことさせねぇぞ!!」
「予定だったんだがな、まさかこのタイミングでナユタが現れるのが想定外だ。奴に止められるかも知れん。また現れる前に侵攻を早めることになった」
「!!」
「そこで指をしゃぶって見ているが良い。くっくっく…」
「おい!待て!くそ、くそおおおお!」
ナイツの抵抗も虚しく、リアラは去って行く。
「ナイツ!」
「オウル…」
幽閉からしばらく経って、慌てた様子のオウルが囚われたナイツの元に現れた。
「ピアン達が慌てた様子でナイツが囚われたと教えてくれたのじゃ!よりによってナユタが帰った後に…!」
「ワイズマンがまた侵攻開始するってよ、どうすりゃ良い」
「なんじゃと!?」
「リアラのやろーがご丁寧にも教えてくれたさ。」
「まずいな、まずは他のビジターを探させねば…!」
「早く見つけてくれ!」
「分かっておる!」
ナイツの囚われた檻はビジターの持つイデアにより解くことができる。
…しかし、多くのビジターはドリームゲートに来るまでにイデアをなくしてしまう事が多い。そう簡単にイデアを持ったままのビジターに出会えるとは思えない。
「ああ…くっそ…」
このままではナイトメアによる侵攻をただ見ているだけ。
今のナイツは悔しさにただ狼狽するしかないのだった。