夢の世界で


「ナイツ!車になってよ!」
「は!?またか!?」
 ナイツはソリやボートやらに変身できる。バイクや車にもなってもらって何度か運転したことがある。
 ちなみにスケートボードになった時が一番キツかったそうだ。
「折角だし、夢の中でも練習しようと思って!あ、そうそう四人乗りのオープンカーでお願い!」
「要望多いな!?わーったよ!」
 渋々という感じでナイツは四人乗りオープンカーに変身した。
「ほらオウルも乗って!」
「わ、わしは遠慮しておく、お前さんの運転は荒」
「行くよ!」
「のわー!!」
 オウルの絶叫を背に車のナイツは急発進する。…車のナイツは結構スピード出るし楽しい!
 運転技術は落ちてないようだ。引っ越し作業で忙しかったからしばらく車に触れてなかったのだ。
 元から才能あるのよ私…!と己を鼓舞し、私はグリッターオアシスの建物っぽい所の前で降りたのだった。
 そこには何体かのピアン達がいる。車のナイツをその側に停める。
「乗せてこっかー?」
 そう言うとピアン達は喜んで車に乗ってきた。…うーむ…可愛い…!
 ピアン達を乗せ、アクセルを一気に踏み車のナイツを飛ばす。
「あ、ご丁寧にハイドロのスイッチ付いてるじゃん」
「おいおい、使うのか?」
「使うわよ!」
 ナイツに付いているハイドロのスイッチを作動すれば、車のナイツごとホッピング。
「のわぁ!」
「相変わらず凄い運転するよな…」
 ナイツがぼやいてたが、刺激的な運転をするのが私は好きなのだ。特にローライダーでホッピングするのが好きだ。
 確実に日本で怒られる運転をしても夢の中なら許されるのが気持ちいい。
 ぼやくナイツや青い顔のオウルとは逆にピアン達は可愛らしい見た目とは裏腹にこの運転に喜んでいた。
「お前の今いる所ってこんな感じの所なのか?」
「そーよー」
「…似たような夢を見る奴がいるんだな…」
「え?マジで?」
 ビジターの心象が夢の世界を構築していると考えれば、他にそんな夢を形成してるビジターがいるということだ。
「最近そいつには会わないんだけどなー。どうしてんだろ。」
「会ってないの?」
「まあ普通は大人になったらそんな会わねぇよ。」
 え…それって…20歳超えたのに夢の世界に来れてる私は大人じゃないのか!?!?!?
 いや私はれっきとした20歳だ!
 そんな話をしてるうちに山の中へと入っていく。都会から突然の自然地帯になる。
「こういう感じもまさに似た感じだなぁ」
 …ナイツの知ってるビジターはどれほど私と共通の思考してるんだ…!
 そうこうしている段々渓谷の方へ向かっていく。
 車から降りるとピアン達が嬉しそうに騒ぎ出す。逆にオウルが顔の青さを増した。(ご丁寧にバックミラー付きなので見えた)
「おいナユタ…マジか?やるのか…!?」
「やるわよ!」
 グン!とアクセルを思いきり踏み込む。
「のわああああ!!」
 オウルの悲鳴。ピアン達の歓声。
 思いっきり私達は断崖を飛んだのだ。そしてこのまま渓谷へダイビング…。
 …気持ちいいいいいい!!!
「うわ!」
 キィィィィ!
 着地と同時に一気にドリフトを決める。
「ほーら!また飛ぶわよ!」
 再びローライダーでジャンプする。
 ガッシャ!
「ひいいいい!また跳ぶのかぁ!」
 オウルの叫びとは裏腹にピアン達は大喜びである。…こういう悪ノリに喜んでくれるからこの子達は可愛い! そんな悪ノリを繰り返し、湖へと車のナイツをドリフトして停めた。
 ピアン達がブルーチップを差し出してきた。チップかな。喜んで受け取っておく。
「お、お前……流石に死ぬかと思ったぞ…」
「え、ナイツもあれぐらいのダイブで死ぬとか思うの?」
「お前俺を何だと思ってるんだ…おうオウルしっかりしろ。」
 車の姿のナイツから降りると、ナイツが変身が解く。心なしかふらふらとするナイツ。オウルもだけど。
「久々だったけどやっぱ楽しいね!」
「そうかぁ……そうかぁ……」
「オウルってそんなに車苦手だっけ?」
「車が、ってよりお前さんの運転ががが…」
「うわー!オウルしっかり!ごめん!」
 そんな私達の元へピアン達が寄ってくる。ブルーチップだけでなくお礼に色とりどりの花をくれるらしい。
「わ、ありがとう……!」
 とっても綺麗な花だ。私なんかよりも上手に育てられてるんだろうな…。
 ピアン達がキャッキャッと騒ぎながら散っていく中、私はその花をそっと握ってたのだった。
 …次第に意識が白んでくる。
「そろそろナイトオーバーの時間か?」
 ナイトオーバー…夢から覚めることだ。
「もっと遊びたかったんだけどなー」
 …でも、夢から覚めたら色々とやらなきゃいけないことはあるのだ。
 こちらでの車を決めなきゃいけない。後あの悪魔のことをなんとかしないといけない。
「んじゃまたねナイツ、オウル」
「うむ、気を付けるのじゃぞー…」フラフラ
「元気でな!」
 そうして、白んで行く意識へ私は身を委ねたのだった。
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