夢の世界で


 落ちた先に広がっていたのは……ネオン街。
「随分きらびやかな街じゃのー」
 呑気に呟くオウル。
 …ここは私が動画とか某ストリートビューでよく見ていたグリッターオアシスの光景にそっくりだ。
「ここ…グリッターオアシスみたいだわね」
「へー。こんな感じの街なのか」
 街を軽く飛び回るナイツ。
 前ナイツが話してくれたことがある。ビジター(夢の訪問者)の心象が夢の世界を構築するのだと。
 ビジターである私の心象がまさにそのまま投影されているのだろう。
 同じく夢の世界の住民である、ナイトピアン達も所々浮いていた。
「おい、ナユタ!」
 急にナイツが降りてきた。
「どしたの?」
「上を見ろ…」
「ん?あ…!」 
 逃げ回るナイトピアン。サードレベルのナイトメアン達がナイトピアン達を追い回していたのだ。
 …さっきの“あいつら”、とはナイトメアンのこと。悪夢にするために悪さをしてくれる厄介な連中。
 なんかワイズマン様が云々言っていたので、奴らにとってはどうやら仕事なようだ。悪夢にする仕事なんて勘弁して欲しいけどね!
 間違いなくナイトメアンの社畜代表はあの赤い悪魔だったリアラだと思う。…赤い悪魔はエンジェルが更新したが。
「ナイトメアンが来てるじゃと!?最近大人しくしてると思ったら…!」
「とにかくさっさと駆除しましょ!…ナイツ、すっごい久々だけど“デュアライズ”できる?」
「良いぜ!やるぞ!」
 デュアライズ。…何故かナイツはビジターと同化することができる。
 ちなみにナイトピアンやオウルはできないようだ。
 久しぶりにナイツとデュアライズする。
『よいしょっと…飛ぶ感覚って…こんなもんだったわよね』
「おー、そうだそうだその調子」
 ナイツの飛翔能力もありそのままナイトメアン達の元へ飛んでいく。
 ピアン達を襲っていたナイトメアンがこちらに気付き、向かってくる。
『よっと』
 ナイツの手で、ナイトメアンにタッチする。そしてそのままぐるりと一回転する。
『ぴぎゃっ!』
 鳴き叫び消えて行くナイトメアン。
 ナイツの手から出るキラキラしたダストが円状に繋がると、“パラループ”という現象が起きるのだ。
 ナイトメアンはこれを使うと消滅する。
 羊の姿の奴はまあ、特に攻撃してこないけど綿毛が厄介。
 タツノオトシゴの姿した奴がよく攻撃してくる。
『ほらよっ』
 でも所詮泡攻撃。ナイツの敵ではない。
 パラループで一瞬にして飲まれていった。
 助ける度に妖精のような…ピアン達がニコニコと笑顔で手を振ってくる。お礼を言ってくれてるのはよく分かった。
「ブランクある割によくやるじゃねーか」
『まーね!』
「ほっほっほ、元気じゃのう」
 オウルがピアン達を助けながら笑っている。
『よーし……一気に片付けましょ』
 リアラやセカンドレベルといった上位のナイトメアンは今はいないらしい。好都合だ。
「ナユタ!こっちだ!」
『分かった!』
 ナイトメアンの群にデュアライズしたナイツと一緒に突っ込む。
 あっという間に半数程は消えた。
 残ったナイトメアン達は…顔を見合わせて、そそくさと去って行った。
 このままだと全滅すると思ったのだろう。
『ふう……こんなもんかなー』
「久々にしては良くやったな」
「ほっほっほ、お疲れ様じゃ」
 オウルに労われているとナイトピアン達がキラキラした笑顔で寄ってきた。
 お礼を言ってるらしい。
 皆可愛かったのでナイツの姿のまま思わず撫でてしまう私だった。
「そろそろデュアライズ解くか」 
 ナイツとのデュアライズを解く。
 「アディーマ!」と言ってた。意味としてはあばよ!的な感じらしいが、別にここでお別れではないだろう。
 夢の中で遊んでいくという目的をまだ私は果たしていないし。
 そうだ。グリッターオアシスに似ている所なら…練習できるかな!?
3/6 prev list next
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
×
- ナノ -