聖夜にまつわるエトセトラ


 部屋に入るとミセスの子供たちやエンジェルの友人達が目に入る。
「エンジェル兄ちゃーん!」
「お、エンジェル来たか。割と早かったな。結構ナユタがごねるかと思った。」
 …ステファンソン君よ。私ってそんなにごねてるイメージなのか…。否定できないけど。こいつが強引なせいだけど!
「そりゃ記録更新するに決まってるだろ?ナユタが俺に惹かれつつある証拠だ!」
「バッ……カじゃないの!もう!」
 もう何言ってんだこいつ!夫婦扱いされて気を良くしてんな!
 あ、エンジェルが言ってた通りビックスバイトさんやザックスさんもいる…。
「あー、こんにちはビックスバイトさんザックスさん」
「ああ、ナユタか」
「…」
 ザックスさんはとりあえずこっちを見ただけだが、いつものことだ。
 …この二人がクリスマスパーティに来るなんて意外すぎるんだよ…!
「…今年はあいつがいるから騒がしくなりそうだ」
「まあ、そうだな…」
 二人共エンジェルの方を見て鬱陶しそうにしていた。まあ気持ちは分からなくない。絶対とんでも馬鹿騒ぎやらされそうだもん。てか今年はって毎年出てるのかこの人たち。
「ミセスの所でのパーティは毎年来てるんですか二人共」
「…どうせ独りでいるなら来いと言われた」
「大変失礼ながらザックスさんはよく分かるんですけどビックスバイトさんはどうして?」
 元レーサーなんだし当時の仲間とか関係者とかとしないのか。
「…正直裏切り者扱いされそうで当時のレース関係者とかと殆ど連絡取ってない…」
「えええええ」
 憂鬱そうな顔で話されてしまった。まあ人気絶頂で辞めてしまったとあればそう思う人もいそうだが…。
「まあ聖夜ぐらいミセスが呼んでくれるし静かに過ごしたいからな、だからお前も呼ぶように言った」
「は?」
「…あいつの馬鹿騒ぎに巻き込まれるのは嫌だからな」
「という訳であいつの相手頼む」
 この人ら私を生贄に差し出そうとしてるっ!!
「嫌ですよ!なんであいつの相手なんか」
「…嫌なら俺のハイドロ技術返上してもらおうか」
「はい分かりました!!」
「お前俺のハイドロがいらねぇってのか!!」
「違いますよぉぉぉぉ」
「ザックス怒鳴るな!!ミセスの子供たちが怯える!」
 分かってるよザックスさんの意図は!ここで私が返すの嫌だからエンジェルのこと請け負うって思ってそう言ったの!
「My Dear〜?」
 ぎゅっと後ろから抱き締められる。
「エンジェル…」
「ほら来たぞ面倒な奴」
「面倒な奴って失礼だなザックス!」
 ビックスバイトさんもザックスさんも何とかしてくれと言わんばかりな顔で見てくる…。仕方あるまい…。
「ビックスバイトやザックスと何の話してたんだ?」
「なんでミセスのとこのパーティに二人も来てるんだって聞いてただけ」
 別に彼氏でもないのにやたら詮索してくる。私と出会ってやたら嫉妬深くなったとステファンソンが言ってたな。
 …あーあ。ビックスバイトさん達に生贄として差し出されるのは不本意だが、まあ、仕方がないか……。
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