聖夜にまつわるエトセトラ


(時系列謎のクリスマス話・キャビー始めた後の話・後の話の展開バレもあります)

 クリスマス。
 日本じゃすっっっかり恋人の日のイメージだが、アメリカでは家族で過ごす日だそうだ。
 だから店も家族と過ごすから早めに閉まってしまうことも多い。
 だから前日辺りにさっさと食べ物買い込まなきゃひもじい思いして死ぬ!
「さーて、当面は死ぬことないぞーっと」
 仕事を終了した後、買い込みまくった。クリスマスのイブや当日は開いてる店は期待できない。
 今日のお客達もクリスマス関係での移動が多かった。パーティやらなんやらだろう。
 中にはサンタの格好をした人もいた。
 運んでいったサンタクロースの格好をした一人が「Merry Christmas!」と言いながら煙突のある家に入るという不法侵入を働いていたが、気にしないことにした。
 一つのクリスマスツリーが目に入る。
 …オーナメントは天使だらけだ。可愛いのだけれど、うっ、頭が。
「お、My Dear!」
 天使見たらやっぱり出たなこいつぅ…。
「エンジェル…」
 いいやこいつは天使という名の悪魔だ。
 グリッターオアシス(ラスベガス)のクリスマスはそんなに寒くない。とは言っても涼しくて肌寒い。…上半身裸でよくいられるよねこいつ!?年がら年中裸だろ!?
「あんた風邪ひかないの…」
「おいおい、心配してくれるなんて随分俺のこと思ってくれるんだなMy love♪」
「単に疑問に思っただけよ!」
 なんで風邪ひかないのか聞いただけでこんな風に言ってくる。
 こいつの異様なポジティブぶりは最早ホラーの域だ。どうしてそんな風に考えられるか思考回路を見てみたい。
 なお私はこの寒さでも堪える。無理。だから日本から持ち込んだヒート○ック持参だ。
「やれやれ、相変わらず素直じゃないなMy dear?本当は俺のこと大好きなくせに」
「……あんたの思考回路どうなってんの?」
 あ、やっぱりこいつ無理だわ。何言ってるのか理解できない。とりあえず逃げたい。
 タクシーに戻ろうと思っていたらぐいっと手を掴まれた。
「ちょっと!」
 いきなりなんだこの悪魔。文句を言ってやろうかと思って奴を睨もうとした。
 そしたら、いつになくエンジェルは真剣な目つきでこちらを射抜いてきた。
「…12月24日は空いてるか?」
「は?」
 …クリスマスイブだな。うん。
 …まあ喪女彼氏なしの私にある訳はない。店もやってないし夜はアパートに引きこもる予定だ。
 …このパリピのことだからどーせ「よし!クリスマスパーティやろうぜ!」とどんちゃん騒ぎするに違いない。クリスマスぐらい静かにさせてくれ!
「ミセスの家でクリスマスパーティやるんだよ。ビックスバイトやザックスも来る。ナユタも来てくれ。」
 …ええ?マジで?ミセスの所でやるのか…!?
 てかビックスバイトさんやザックスさんも来るのか!?その二人も!?意外すぎる!!
「あんたミセスんちでガラス窓割ったり花火飛ばしたりしないでしょうね…」
「しねーよ!失礼だな!」
 だってガラス窓割るとか常識外れなこと平気でやりそうじゃん!
「安心しろよ。皆いるから寂しくねーぞ。ステファンソンやヴィクターもいるしな」
 寂しいって単語をこいつに言われるとは思わなんだ。
 てか、本当にどうしたエンジェル?風邪ひいてんの?
 いや、でも…どうしようかな。せっかくのお誘いだし…ビックスバイトさんも来るしザックスさんとももっと話してみたいしなあ…。
 てかグリッターオアシスのドライバー勢揃いだな!これは出ないといけない!
「…行くわ」
「お、マジで!」
 そう答えた途端エンジェルはぱあっと顔を輝かせた。…もう、眩しく笑いよって!
「へへー、楽しみだなあ」
 そう言ってエンジェルは私の手を離して歩き始めた。
「楽しみだからって夜中の3時に叩き起こさないでよ!」
「しねーって!」
「…詳細はまた後で連絡ちょうだい」
「もちろん!連絡するぜ!必ず来てくれよな!」
 エンジェルは手をぶんぶん振りながらビュイック・リヴィエラに乗り去っていった。
 …一体どんなパーティなんだ…!!
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