前途多難


「た、助かりました…ありがとうございますっ」
「いや…まああいつは時々、っていうかいつもああいう思い込みで突っ走ってるからな…」
 どうやらビックスバイトさんも奴には困っているらしい。
 …というか、いつもあんな思い込みで突っ走ってるって大丈夫なんだろうか…。

「あいつを撒くように運転するぞ。…とりあえずさっき乗ってたんだから安全運転なしでいいな?」
「あ!はい!お願いします!!」
 そうだ!すっかり忘れてたけどこの人もクレイジータクシードライバーじゃんか!
「舌噛むなよ」
「はいいっ!!」
 街中を逆走しながら、他の車とギリギリ近付きながら通り過ぎる。
「あはーっ…やっぱいい♪」
 この人の運転もなかなかだ。凄く腕がいいんだろうなぁ。
 と思っていた矢先…なんと歩道橋の階段に向かっていた。
「はい!?歩道橋!?」
「ここいらの奴らはよく使う」
「マジですか!?あががががっ」
 突然来る振動に喋れなくなる。
 歩道橋の階段を駆け上がっていくシボレー・カマロ。どうなってんの!?
 しかも私がいるから乗せていきはしなかったけど、なんと歩道橋の上にもクレイジータクシーを求める客がいた。
「う、嘘でしょ…!お客さんいるんだけど!?」
「もう当たり前の光景だ…。俺も初めて見た時には信じられなかったが」
 そしたら、同じように反対方向の階段から他のドライバーらしい人…金髪で大きな体格の人が拾っていった。あの人もドライバーか!
「あの人もドライバーの人?知ってる人?」
「…まあそうだ」
「うわぁー、あの人のドライビングも是非体感したい…」
「あー…止めとけ。色々とあいつも面倒なんだ」
「え!?」
 あのエンジェル以外にも問題な人はいるらしい。クレイジータクシー問題児多くね!?

 …いや待て…“クレイジー”タクシーだもんな…。
 こんな狂った運転するのはたしかに普通じゃない。
 私もクレイジータクシーをやりたい!と思った以上狂っている自覚はある、と思う。
 …ただ、ビックスバイトさんはまともな方だと思う。なんでクレイジータクシーやってるんだろ。
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