前途多難


「…大体、エンジェル…彼女と結婚するには、色々難しいかも知れないぞ…」
 私の方を見てビックスバイトとやらさんは呟く。
「色々難しい?何がだよ?」
「まあ…色々、年齢とか、親の許可とか」
「俺っ!立派な18歳だぜ!?許可とかいらねぇしっ!」
 …18歳?え?こいつ18歳なの?
 は!?年下!?未成年っ!?
「18!?」
「そーだよネバダじゃ結婚できる歳だぜ!」
※ラスベガスを含むネバダ州では18歳から結婚可能、16〜17歳は親の許可がいります。
「ちょっと待って!?18とか私無理っ!」
「何が無理なんだよ?」
 未成年かよこいつ!!年上かと思ったっ!
 無理だ!未成年とかもっと無理だっ!!責任が取れない!!

「エンジェル、俺が言いたいのはそうじゃなくてだな…お前の年齢はともかく、この子に関してはどうするんだ…場合によっちゃ裁判所を通さないといけないかもしれないぞ?」
「そーだなー、よし!ナユ!
親御さん呼んで結婚パーティーしようぜ!!
それで許可貰えれば結婚できる!」
「いや日本なんですけどっ!!
っていうか待って待って!」
 18歳で親の許可がいらないならなんで私は親呼ばないといけない訳!?訳が分からない!アメリカ人じゃないから!?
「なんで私に許可がいるの!?私20歳なんだけど!?」
 20歳というワードにぴたり、と二人共固まってしまった。

「20歳…!?20歳なのか…!?」
 驚愕の顔でビックスバイトさんとやらがぼやいていた。
「…16歳ぐらいかと思った。」
 真顔でこの悪魔は言ってくれた。
 …嘘でしょ…私年下に見られてた…!?
 …いや、日本人って若く見られやすいって聞いたことあったけど…本当だとは思わなかった…!
「俺はもっと下かと思った…」
 ビックスバイトさん、もっとひどい。
 いや待て!16歳より下でも…中学生年齢でも結婚できるのかネバダ州!?
※裁判所通せばできます。
 とりあえず二人共私が18歳未満な前提で話をしていたのか…。なんかショックだ。

 しかし、ショックを引きずったままではいられなかった。
 乗っていたビュイック・リヴィエラがエンジンを蒸し始めたのである。
「ちょちょちょちょっ、なに!?」
「ナユが20歳なら尚更結婚に問題ねーな!」
 エンジェルはこっちを振り向きながら曰わってきた。
 そして再び手を取り、キスをしてきた。
「ええっ、ちょっと…」
「…俺はナユが好きだ。年上とか全く気にしねーから。」
「は、はい?」
「よしビックスバイト!今から結婚式の準備と婚姻届出してくる!」

「…いやあああああ!!!」
 私は絶叫してビュイック・リヴィエラから転げ落ちるようにして降りた。
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