小狼は臙脂色の浴衣。帯は真紅。小狼に良く似合っている。ファイは青と白を中心とした綺麗な…どっちかっていうと可愛いような浴衣。それでもファイは似合ってしまうんだから凄い。
黒鋼は深い緑の浴衣。縦に線が入っている。帯は黒。奈々は薄い桜色の生地に紅と黒の小さい花が咲いている。帯は紅と白のシンプルなもの。
桜の模様がついた玉簪と、それと同じ柄の巾着袋。サクラ同様、奈々も紅を引いている。全員下駄を着用。
「にしても… 黒鋼似合いすぎだね」
「あ?」
黒鋼を観察していた奈々が思わず感想を漏らす。それ程黒鋼にぴったりと似合っていた。ファイも奈々に同意する。
「そーだねー まるで毎日着ているかのような…」
「毎日着てたんだよ」
黒鋼がファイの質問に答えた。ファイは「こんな動きにくい服着てるんだー」と感心している。それを聞くと、サクラが興味を持ったみたいで、奈々にも聞いてきた。
「奈々さんの世界にも『浴衣』あったんですよね?」
「私の国はこういうお祭りのときしか着なかったよ」
「同じ浴衣でもいろんな使い方があるんですね!」
(くぅっ…!こんなことで感動している純粋なサクラが可愛い!)
そんなサクラを独り占めしたい気持ちを抑えて、小狼に切り出す。
「小狼。サクラと一緒に羽根探してきなよ」
「え!」
これ以上はないというほど、顔を林檎のように赤くし、驚く小狼。そのリアクションにニヤリと笑う奈々。
「嫌なの? じゃぁサクラは私といこっか。女二人じゃいつ悪い男に絡まれるか心配だけど仕方ない…」
「姫といって来ます!」
「単純だね… 小狼」