サァアァアアァァァアア…………
針のように細い雨。まるで霧が立ち込めているかのように前が白く霞んでいる。結局、言えなかった。サヨナラ。
奈々は立っていた。あのワンピースを着て、ただただ、立ち尽くしていた。最後に呼び止めたけど、あの姿じゃ気づいてもらえなくても不思議はない。
奈々は笑顔で、涙を流した。決して作り笑顔じゃなく、奈々は笑っていた。でも、涙を流した。

雨に溶けて、無くなってしまいそうな涙を。



嗚呼、やっぱり 私たちは結ばれない運命。でも、この出逢いはムダなんかじゃないから。





     





Title by 蝉時雨



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