次の日も、また次の日も、ファイは奈々に会いに行った。そして、魚は姿を現さなかった。天気はいつも、雨だった。



「ここ最近ずっと雨だな」



このじめじめした空気が不快だとでも言うように、黒鋼は悪態をついた。ここ数日、晴れた日は無い。
最初の雨は、少女に会ったあの驟雨の日。それから、雨が降らない日は無かった。不機嫌な顔をする黒鋼の横で、小狼が苦笑しながらそれを宥める。



「でも、明日は晴れるみたいですよ。雨雲もやっと過ぎるみたいです」

「だといいがな」

「洗濯物も乾かなくて大変です。ねっ ファイさん」



サクラに言われて、ファイは軽く返事をする。「そうだねぇ」と、心にもないセリフ。雨は、ずっと降ってて欲しい。せめてこの世界を離れるまでは。時が経つにつれ、そう、思うようになっていた。雨が降れば、奈々に会える。そんな気がするから。

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