もしものおはなし(続)
冷や汗だらだらの俺の目にふと銀色が映り込んだ。
銀髪なんてこのチームにそんなにたくさんいないはず…第一の銀髪は今まさに人を殺さんとしているし。じゃあ一体誰なのだろう?

「あたしの親友に何してるのよどすけべー!」
「ぐふっ!」
か み だ !
神が降臨した!!もしかしてアフロディが彼女を遣わせてくれたんだろうか。だとしたら韓国にキムチ差し入れに行こう、うん。
まあそんなことはさておき、ヒロトをぶん殴った銀髪の持ち主は不機嫌全開で頬を膨らませる。ちなみにヒロトは見えないところまで飛ばされたようだ。

「まったくもう! 油断も隙もありゃしないわね!!」
ショート寸前だった円堂と吹雪はそのまま笑顔を崩さず固まっていた。
その二人がそうならば他のメンバーだって例外じゃない。つまり、俺が何を言いたいのかというと、イナズマジャパンメンバーは全員固まっているということである。
そんな中、場を凍てつかせた張本人である彼女は長い銀髪をふんわりとなびかせてヒロトに掴まっていた子の元へ駆け寄っていく。

「大丈夫だった?」
「はい。」
「もう、気をつけてってあれだけ言ったのにっ!」
「ご、ごめんなさい…」
怒り心頭(矛先はきっとヒロトだけど)の彼女に、青い髪を揺らして少女──雪宮はしゅんと俯いて落ち込んだ様子を見せた。
そんな雪宮の様子を見て毒気を抜かれたのだろう、少女は困ったように微笑む。


「仕方ないなぁ…もう、次から気を付けてね?」
「はい、あの……曇さん。」
「? なぁに?」
「心配していただけて嬉しいです。ありがとうございます。」
「! ……あーもう! 和泉ちゃんってば萌えすぎ!!」
「も、え?」
「ううん! なんでもないの!! とにかくあたしは和泉ちゃんのこと大好きってこと!」
「はいっ、私も大好きです。」
どうやら雪宮の友人らしい。
この二人はとても仲良く、お互いに大切に思いあっているようだ。愛情の一方通行の代名詞、ヒロトにも見習ってほしいものだと心から思う。


「雪宮さんってどっか抜けてるっすよね……」
「そうだね…」
壁山と立向居の会話だ。マネージャーがいるとはいえ、女子とあまり関わりがないからか彼女たち二人に興味津々な様子。
一年生たちに混じって話に加わっていた綱海がちらりと彼女たち二人を見て、そして一年たちの肩を掴んで俯いた。そしてぼそぼそと呟かれる内容は一体何だったのか、立向居が顔を真っ赤にしてずざざざと綱海から離れる。

「はっはーん、立向居お前…」
「わぁぁぁぁぁぁぁ!!」
わたわたと綱海の口を塞ぐ立向居はちぎれんばかりに首を振って、綱海の言おうとしていた内容を必死に否定(?)していた。


「そういえば、曇さんはどうしてここに?」
「リボーンから和泉ちゃんがサッカーの護衛に行ったとかなんとか聞いて、驚いて飛んで来たの!! どうして曇に一言言ってくれないの男は狼っていうじゃないそんなところに兎が一匹放り込まれたらどうなるか分かってんのあっという間に食べられちゃうんだから特に和泉ちゃんみたいな可愛い兎はね!!」
「す、すみません……」
雪宮はどちらかというとゆっくりおっとり話す子だと思うが、ヒロトを吹っ飛ばした彼女はどうやらガトリングガンよろしく恐るべき滑舌で一気に早口でまくし立てるタイプのようだ。
雪宮はわかっているのかいないのか、慌てた様子で謝罪の言葉を口にしている。彼女の尋常じゃない様子に雪宮も焦っているようだ。
じっと見ていると、雪宮の背後にゆらりと影が現れる。俺があ、と間抜けな声を漏らすと同時に彼女は素早く振り返った。

「何者、です?」
そして瞬時に華奢な体を丸めて体勢を低くすると、戸惑う影の足を払う。体勢を崩した影の両腕を背中に回して拘束し、雪宮は言い放った。
整っている容姿から発される空気は酷く冷ややかだ。普段は物腰柔らかく優しげな彼女だからこそ恐ろしく感じるのだろう。

「あ…す、すみません……!」
しかしその冷酷なまでに綺麗に細められた目は、すぐにきょとんと丸くなる。雪宮の下にいたのは、ヒロトだったからだ。
驚いたのだろう彼女は急いでヒロトの上からどいた。


「き、基山、さん…?」
動かないヒロトを見て、雪宮は不安そうに眉を下げてヒロトの肩を揺らす。しかしヒロトは(雪宮には見えていないが)鼻血を垂らしたまま動かない。
表情は愉悦、もしくは恍惚といったところだろうか。……気持ちの悪いやつだな。

「大丈夫よ、和泉ちゃん。」
「曇さん…」
「たぶんギャップ萌えしてるんだわ…」
「ぎゃっぷ、もえ?」
「いいのいいの、和泉ちゃんは知らなくて。それより、あたし監督のところ行きたいの。どこにいるか知らない?」
「あ、監督さんなら確か…」
「雪宮さん、」
雪宮が言いかけたところで吹雪が彼女たちに近付いていく。
そんな吹雪が満面の笑顔のままなことに疑問を覚えたのか、雪宮がきょとんと目を丸くして小さく首を傾げた。


「吹雪さん…?」
「大丈夫だった?」
「はい、ご心配かけてすみません。」
「気をつけてね、ヒロトくんは変態だから。」
「やっぱり……!」
笑顔でヒロトを貶した吹雪はスルーして、銀髪の子は眉間を寄せて深刻な表情を作るとキッとヒロト(まだ嬉しそうにしてる)を睨みつけた。
そんな銀髪の子を尻目に吹雪は雪宮の両手を包むように握って眉を下げる。

「もしまたヒロトくんに何かされそうになったら、僕のこと呼んで?」
「え…でも、ご迷惑をかけるわけには……」
吹雪の悩殺攻撃・スノーエンジェル(と俺と佐久間は呼んでいる)を雪宮は素で無効化した。しかも吹雪の迷惑になるまいと雪宮は本気で吹雪の心配をしている。
すごい。普通の女の子だったらその吹雪の一撃でノックアウトされていただろうに。

スノーエンジェルがノーザンインパクトに返された、そんな感じだ。
…最も涼野じゃ吹雪には敵わないだろうが(厨二病的な意味でもそうでなくても)。


「え…」
「私は皆さんのお手伝いをしに来ているのに、ご迷惑をかけるわけにはいきませんから…。」
さすがの吹雪も驚いたのか、目を丸くして雪宮を見る。そんな吹雪の様子に気付くことなく雪宮は続けた。


「私は皆さんを守るためにここにいるんです。力にこそなれ、ご迷惑なんてかけられません。」
「………」
優しく微笑んだ雪宮に、ここにいる何人が癒されたことだろうか。
ああもう、あいつは一体どこまでいいやつなんだよ。


真っ黒天使と変態と真っ白うさぎとその友達と

(っ萌える…!)(か、可愛いです…っ!)
(……彼女、春奈と同じタイプか…)
(っていうか音無はああいう子だったのか鬼道……)
(春奈の個性だ……)
(遠い目するなよ…)


────
反省所

とにかく基山変態でごめんなさい。
変態もイケメンもギャグ要員もこなす基山かっくいい←

お日さま園では緑川と南雲が好きなんですが基山も普通に好きだお兄ちゃんに欲しい。
ところでイナゴは佐久間の出番あれだけ?風丸は出番なしですか?

私の嫁はまだですか!
……緑川出て「きゃっほーい!!」ってしたからいいか。でも早く出てほしいです。
(追記)-- 2012/02/16 13:39


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