絆創膏

ドッカーン

生徒会室からする大きな音。
翼くんがまた爆発させたんだろう。
いつもより大きな爆発音だったから少し速足で生徒会室に向かった。




「翼くーん?」

生徒会室の扉を開けながら中を確認する。
しかし、誰も見当たらなかった。
生徒会室の奥、黒煙がもくもくと上がっているラボに足をすすめた。

「翼くん?生きてる―?」
「ぬ…?」

ちょっと空気が煙たくって噎せそうになるが頑張って抑え込む。
翼くんはというと黒い塊の前に座り込んで、その得体の知れない物体を見ていた。

「な、なにしたの?」

翼くんに近寄りつつ、質問する。
すると翼くんはぬはは―…と、いつもより元気なさげな声で笑った。

「配線一本間違えちゃってドッカーン、て」
「今日いつもより凄かったけど…」

翼くんの顔を覗き込んでみた。
ピンドメはずれていて、あまり意味をなしていない。
髪の毛の至るところが焦げてチリチリになっていて少し切らなきゃいけなさそう。
怪我はないかな、なんて思ってたら頬に一本の赤い筋。

「翼くん、怪我してるよ」
「ぬぬぬ?何処だ?」
「右頬だよ」

手を頬に伸ばして頬を擦る。
その仕草にきゅん、としてしまう私がいた。

「だめだよ擦っちゃ。消毒しよう?」
「こんなん舐めとけば治るぬーん」
「だめ!ほら、こっちきて」

翼くんの手を引っ張ってラボから出る。
翼くんにソファーに座るように言って救急箱を引っ張り出す。
救急箱の中から絆創膏と消毒液、綿棒を取り出した。

「翼くん、顔見せて」
「ぬー…」

消毒液を綿棒に染み込ませて翼くんの右頬の傷にあてる。
あたった瞬間痛かったのか肩を少し震わせて眉間に皺を寄せた。

「痛いよね。少しだけ我慢してね」
「子供じゃないから我慢できる!」
「えらいね―」

可愛くてつい、頭を撫でる。
翼くんは子供扱いするな―って、怒るけど可愛いから仕方ない。
ティッシュで傷口を拭いて、絆創膏を張る。
綺麗な顔なんだからあまり傷を作らない方がいいと思うのだけど。

「できたよ」
「ぬ、ありがとうなのだ〜」
「……っ」

目を開けた翼くんと目が合う。
顔の傷の手当てをしていたのだから、至近距離は当たり前のこと。
翼くんの綺麗な顔に、つい見惚れてしまう。

「………」
「………」

二人して沈黙。
ちょっと、つらい。
だけど、翼くんから目を逸らせない。
翼くんの瞳は、とても綺麗。

「……なぁ」
「は、はいぃ!」

動揺していて、声が裏返ってしまった。
顔を赤くしていたら、翼くんが顔を近付けてきた。

「キス、していい…?」
「え、…あの…」
「だめ、なのか…?」

翼くんが耳と尻尾をだらーんと下げた犬に見えてきてしまった。
可愛いんだけど、キス、はちょっと……恥ずかしい……。

「だ、だめ……じゃない…」
「!……名前大好き!」
「!」

翼くんの発言に先程赤くなった顔がもっと赤くなる。
ちゅ、と可愛いリップ音がして、綺麗な瞳が離れていった。
翼くんはにこにこ笑いながら私を抱き締めた。


絆創膏



「…入れないな…」
「そうですね…」



生徒会室前で待機なうな颯斗くんと一樹会長。
翼くんが可愛いです。
弟に欲しい。
自分に依存して欲しい。


20120716

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