噛み千切って

人の心なんてわからないわ。
私だって自分の事なんてわからない。
突然自分の制御ができなくるし、自分の考えてることが怖くなる。

「私、一樹のことわからない」

私がそう言うと、ぽかんと間の抜けた顔で私を見詰めてきた。

「お前、俺があんだけ愛情表現してるのにそれがわからないっていうのかよ」
「いや、そういうことじゃなくて」

これは何と言ったら伝わるのだろうか?
自分でもよくわからないこの想いに感情。
自分の中で持て余し続けているこの考えに終着点などあるのか。
そう一人で悶々と考えていると、目の前に一樹が来た。

「なあ、俺のこと好きか?」
「そりゃあもちろん」

私がそういうと、一樹はにかっと笑い、それならいいんだといって元の場所に戻った。
その笑った顔に、私は考えていたことなど吹っ飛んでしまった。
嗚呼、こんなにも私は一樹のことが好きなのだ。
簡単なことなのだ。
"ソレ"がわからないのなら、噛み千切って、あの人に渡せばいい。

のそり、とソファから立ち上がって一樹に近
ずく。
そして、唇に優しいキスをした。





わからなければ理解してもらえばいいのよ。


よくわかんないけどお久しぶりの更新でございます。
短くてすいません。
ある曲を聞いたら、これが頭から離れなくなってしまったので。
20130829

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