血のつながっているだけの誰か

俺の大切な血の繋がった双子の妹の名前。
俺は名前のことが好きだ。
これは、兄妹としてではない。
恋愛の方の好きなのだ。
昔から、一番大切だった名前。
親に捨てられた時も、名前だけは側にいてくれた。
ずっと一緒にいて、これからも一緒だと思ってたのに、名前は中学二年生の時に彼氏を作った。
名前の彼氏は、顔はいいし性格もいい、非の打ち所のない彼氏だった。
だけど、俺が彼氏を脅して一週間もしないうちに別れさせた。
俺から名前を奪うなんて絶対に許さない――




「おにいちゃん!」
「ぬ、なんだ〜?」

今日の授業が全て終わり、生徒会室にいこうとしたら、名前がきた。
走って俺のところに来たのか、息をきらしていた。

「おにいちゃんが生徒会室にいくと思って、一緒にいけたらなって…」

そう言って頬を少し赤らめる名前。
やっぱり名前は可愛い。
ここは廊下だから、決して抱き着いたりはしない。
自室だったり俺達しかいなかったら抱き着くのに。

「ぬはは〜それじゃあ一緒に生徒会室までレッツゴ〜!」
「わ、おにいちゃんっ!!」然り気無く、自然に、名前の手へと手を伸ばした。
そして、名前の手を握った。
昔は、気にしないで出来たのに。
今は、回りと自分の自制心が邪魔をしてあまりできない。

「久しぶり、だね。こうやって手をつなぐの」
「うん…」

高校に入ってから、名前に元気がない。
笑っていても、どこか悲しげで。
俺には、どうすることもできない。

「…やっぱり名前は、生徒会に入らないのか?」
「…うん。課題だけで他のことに手が回らないから」
「…そう、なんだ…」

生徒会室の前に着いたけど、名前が中に入ろうとしなかった。

「名前…?」
「っ、今日、は、帰るね」
「なんでだ?」
「ちょっと、気分悪くて…」
「……やだ」
「…え…」

名前の手を無理矢理引いて、生徒会室に入る。
ソファに名前を座らせて、名前の横に座る。

名前が気分が悪いなんて言ったのは嘘だと言うことがすぐにわかった。
名前は嘘をつくとき、下を向いて手を握るから。

「私、帰るから、だから…」
「離さない。離したくない」
「もう、みんなくるから…きゃっ」名前の身体を抱き締めた。
名前が俺を拒絶してるみたいで、離したくなかった。

兄弟なんて関係に俺は満足しない。
血が繋がっていようと、他人にかわりないから。
いつかは、俺から離れてしまうから。
だから、この兄弟という関係に終止符を打とう。
名前が、俺から離れてしまわないように。
名前を繋ぎ止められるように。

「名前、俺は…」



がっているだけの


私が書く翼くんは翼くんじゃなくて泣きたくなります。

title by joy
20120727

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