変わりますか@錫也
「君は、強いね。」
私と彼しかいない放課後の教室で反響した声に、私は怒りを覚えた。
私の何に、強いというのか。
「なんのこと?」
冷静をよそおいながら、私は行った。
でも、私の声は微かに震えていて情けない。
この一言だけでこんなに揺らいでいるのに何が強いだ。
「月子とあの人を見て何にも思わないのか?辛くないのか?…涙一つ、見せないじゃないか…」
バツが悪そうな顔をして、そう言った。
あの人と、というのは多分一樹会長のことだろう。
私の思い人の事を彼は知っているのだ。
だからって、こんなことを言って言い訳じゃない。
「…私の何を貴方は知ってるの」
「え…?」
ダメだ、言うな。
そう頭の中で自分を制止する声が聞こえるが、一度口に出してしまえば止めることなどできない。
「何もしらないのに、そんなこと言わないで!」
「っ…」
自分の制御が出来なくて、大声で彼に怒鳴りつけてしまう。
こんなことが言いたいわけじゃない。
頭の中は冷静でいても、私自身は冷静になどなれないのだ。
「泣いて、何か変わるの…?」
「…それは…」
彼は何も言えなくなり、俯いて口を閉じた。
結局、何も言えないんだ。
お前はそうなんだと言って、それはハズレなんだ。
「…ほら、何も言えないじゃない…」
「……」
「…何も知らないのに、私の事をわかったように言わないで!」
今泣いてはダメだと思ってもダメだった。
月子と一樹会長の二人はお似合いで、私に入る隙なんてなかった。
だからいまだってここにいるに。
耐え切れず、私の頬に涙が伝った。
自分で泣いたって変わらないと言ったのに泣いてしまった。
ねえ、神様。
あの時こうして泣けていたのなら、この未来は変わったのでしょうか…?
「俺にすればいいのに…」
私がいなくなった教室で東月がそんなこと言っていたなんて、逃げ出した私にはわからなかった。
This love is forever.
突然ここだけ書きたくなった。
Sun 03:40:37