その歌声が欲しい@錫也
錫也が男が好きだったりします注意!
彼は、静かに彼女の歌を聞いていた。
星月学園卒業生である彼女は、俺と同級生であり、クラスメイトだった。
彼女の声は地声から既に綺麗なのだが、歌を歌っている時の声はもっと綺麗だ。
彼が彼女のことを好きになるのはわかる。
人懐っこい性格に可愛い容姿、白い肌、声…他にもあげるものは沢山あるがここまでにしよう。
取り敢えず、彼女には非の打ち所というものがない。
成績もよく先生受けのいい彼女は首席だった。
彼が好きな彼女に、俺は嫉妬していた。
俺は、彼女に勝る所が一つもなかったから。
俺には、彼に好きになってもらう要素が一つもなかったから。
彼女の歌を聞くたび、こう思うのだ。
あの綺麗な歌声が俺にあったら、彼は俺に振り向いてくれるをじゃないかって――
その歌声が欲しい
Title by 自
慰
Mon 23:11:39