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mi sangre with朔真ユウさま
01三昧by真田弦一郎
0815 '10by橘と切原




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ガチャン!


「なぁ、そこ座れよ」
「……ああ」


 その前に、部室まで無言でついてきたのがすでにアウトだろぃ。
 そんなことを考えながら、ゆっくり腰を下ろした真田の前に、俺も胡座をかいて対峙する。ちょっと近いかもしんねぇけど、コイツも普段の大声じゃねぇから大丈夫なはずだ。


「部活中だから手短に言うぜ」
「解った」

「この前は、俺が悪かった」
「…………」
「その、言い過ぎたっつうか、」


 なんか改めて言うと、結構恥ずかしいもんだよな。


「だから、元のお前に戻ってくれよ」


 あれ、けど変化無し──どころか更にテンション下がってんぞ。何でだ、夕方だから部室が暗くて表情もわかんねぇ。


「おい、さな」
「済まないのは、俺の方だ」


 だからそれはもう良いって何度も、それにさっきも。


「何が気になんだよ、言ってみろぃ」
「…………」


 次はだんまりかよ、手短にっての聞いて無かったのかテメーはよ。

 クソッ、この際だから絶対聞いてやっからな。けど沈黙は苦手だ、無駄に緊張してくんぜ。


「丸井」
「あー、早く言」
「お前は、俺が嫌いになったか?」

「……はぁ?」


 な、嫌い? たった1回キレたぐらいで人を嫌いになるか普通──いや、ならねぇし。


「んなわけ無ぇだろぃ」
「……そうか」
「お前、嫌われるのがヤなわけ?」
「……」


 ホント時間かかんな、さっきから。


「帽子取れよ、顔が見えねぇ」
「む、」


 あ、取らねぇ方が良かったかも──真田と思いっきり目が合っちまって。けど、意外と普段通りに戻ってんじゃね?

 真剣な、眼差しっつうか。


「はー……それでいんだよ、真田は」
「何がだ」
「あーもう……」


 お前は、空気なんか考えずに堂々と偉そうに皇帝気取りしてりゃいいの! 人の顔色窺ったり、そんなの小者がやる事だろぃ。こっちが調子狂うからホント止めろよ──

 好きだ嫌いだっつんなら、真田らしくない真田が俺は一番嫌いなんだからよ!


「マジ、何言わすわけお前ホント」
「…………」


 俺、今かなり恥ずかしいこと言ったはずだ。ちょっと顔赤くなってる気もする、これで伝わんなかったらもう。

 もう、って何すんだよ俺。


「……俺は空気なぞ読まん」

「あー、それで良いって」
「だがお前が言うなら、その」
「は?」


 まだ他に、って何で、俺が関係あんの?


「努力しようと、思っていた」
「は、は?」
「この意味が分かるか?」


 真田の調子は戻ったみてぇだな、うん。まぁ突然かなり本調子っつうの?


「分かんねぇ、教えて」
「……俺が安心出来んからだ」
「そ、」


 嘘、分かってた。だって俺も、安心出来ねぇって思ったもん。


「それに、嫌われるのも好かん」
「今更か……そうかよ」
「無論、お前にだ」

「……そう、かよ」


 しかもがっしり腕とか掴まれちゃって、つーかもう捕まれちゃってって気分だなこりゃ。あれ、どうしよう俺。悔しいから掴み返してやる。


「丸井」
「……何、真田」
「この空気が、読めるか?」


 うん、ヤベぇ俺、読めまくってる。見事にばっちり外してねぇよ、こん前のお前と違って。

 けどあれだ、部活中だったはずなんだ、だから手短に──


「あ、当たり前だろぃ」
「ほう……流石だな」
「この丸井様をナメんなよ?」


 クソ、絶対嵌められた。


「お手柔らかに頼むぞ」
「ばぁか、それは俺のセリ……」


 俺、まんまと、お前に惚れさせられちまってた。




***




『お前さぁ、空気読めねぇの?』


 あん時から──この言葉って、俺の頭ん中でこそぐるぐる回ってたんだと思う。




end
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2 /2 涅槃的アプローチ


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