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01三昧by真田弦一郎
0815 '10by橘と切原




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『お前さぁ、空気読めねぇの?』


 あん時から──アイツの頭ん中にはその言葉がぐるぐる回ってたんじゃねぇか、と俺は思う。




***




 真田はかなり存在感がある奴だ、まずアイツが居るか居ないかで場の雰囲気がずいぶん変わる。それは、一緒に過ごしたことのある人間なら誰でも知ってる。


「もっと声を出さんか!!」
「オォー!」


 この時点で言えるのは、アイツがもともと空気なんて読むワケねぇ、むしろそんなモンは自分で作り出す側だってこと。

 つまりついこの間、そんな真田に向かって俺が放ってしまった言葉は、アイツにとってはほとんど禁句の部類に入ってたみてぇなんだ。というより、真田の性格に対して面と向かって初めて文句たれたのが、どうやら俺だったらしい。


「よし、各自休憩を取れ!」
「お疲れさまっしたー!」


 腹立ち紛れとはいえ、今はひどく後悔してる。


「丸井」
「んー、また何か気になんのか?」
「……いや、」


 そう、これだ。

 他人に対してかなり不遜な態度を取る様な奴なんだから、てっきり自分にも自信があるもんだと──


「だからー、もう気にすんなって」
「……そうか」


 思うだろぃ、普通。


『何だと……』
『なんだよ、まんまだろぃ』


 あん時だって、拳の一つぐらい飛んでくるって俺は身構えた。

 原因は何だったっけ。あー、柳生にちょっかいかけた仁王に赤也が悪乗りして。そんなの良くあることだし放っときゃすぐ収まんのに、コイツが毎回毎回絡むから。


 俺も俺だ、空気とか。そこまで言わなくたって──


『……』
『な、何か言えよ』


 真田はその直後から、あの俺のたった一言のせいで、見るも無惨な挙動不審皇帝に成り下がっちまった。つーかもう凡人? 真田弦一郎って奴を覆ってたオーラも消えて、これじゃただの更け顔中学生だぜ。

 ごめんとか気にすんなとか言い続けて、さすがに練習中息を吹き返す程には回復した。けどラケット離すとすぐこれで。


「へへ、また丸井師匠の出番スか〜」
「出来の悪い弟子じゃのう」

「お前らは黙れっつの!」
「……」


 ホントどうしちまったんだよ真田。

 いつもみたいに言い返せよ、あんなに言われて黙ってんのなんか、全然お前らしく無ぇだろぃ。それも全部──


 全部俺のせいだってのか。









「なー、参謀生きてる?」

「どうした、丸井」
「俺、他にどうすりゃ良いの」
「……さぁな、データには無い」


 しかも頼みの綱の柳が、なんと俺以上にショック受けてるみてぇなんだ。柳だけに風に吹かれて飛ぶんじゃねぇかとすら思うぜ。ま、お前のせいだってキレられないだけマシだって?


「あー、ジャッカル!!」
「……困ったら俺呼ぶの止めろよな」

「悪ィ、柳と練習はお前に任せる」


 ──そんなコト言ってられっかよ。


「どう任せ、練習?」

「おい真田、俺とちょっと行くぜ」
「……何処へだ、部活中だぞ」
「クソ、テメーの緊急事態だろぃ!」


 だってそんな声にすら全く力入ってねぇもんよ。やっぱ一刻も早く真田を元に戻さなきゃマズいぜ、いろいろ。

 つーかまず俺が、安心出来ねぇ!




 


1 /2 涅槃的アプローチ


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