(蘭拓蘭) 「霧野…」 練習後部室で二人きりになると突然神童が後ろから抱きついてきた。頭をオレの肩にすりすりと押し付けて珍しく甘えてくるので、したいようにさせていたらやんわりと首筋に噛みつかれた。 「どうした?」 「…何もない」 そういう割には、噛みついた――おそらく薄ら噛み痕が残っている――あたりを指先でなぞり、あからさまに溜息をつくのである。 頑固な神童には向こうが何か話してくれるまで辛抱強く待つだけだ。部室にかかった時計に目をやると完全退校までは時間があるので、されるがままに抱きつかれている。神童のお守は大変なのだ。 全て私のせいにすればいい 111025 title::放電 |