(蘭拓) 頬を流れる涙を舌ですくいとると神童は目を閉じて涙を止めようとする。ピタリと涙は止まって、目蓋をゆっくりと開けてオレを見た。まだ不安そうな瞳が揺れている。 「ごめん」 「馬鹿霧野」 「ごめんって」 手を握ろうと触れると、払われてしまう。 「どうしてお前は何も話してくれないんだ。俺はお前の何なんだ。何のために俺がいるんだ」 「神童は……オレの大切な人だから、心配かけたくない」 「それが俺を不安にさせるんだ!」 ヒステリックに語尾を荒げて神童は言う。その目尻にはやっぱり涙が浮かんでいた。ああどうしようもない。 君が居なくちゃガラクタばっかのこの世界 110818 title::hakusei |