きみを一番理解してるつもりだったけど | ナノ
(拓+蘭+α)


霧野は昔からその容姿で、「かわいい」と言われることが多く、また女子に間違われることも多い。本人はそれをとても嫌がっているから俺はそういうこと絶対に言わないけど、そんなに間違われるのがいやならせめてその髪を切ればいいのにと思う。理由を聞いてみたかったけど、そこまでして切らないなんてなにか特別な理由がありそうで触れてはいけない気がした。

「霧野さんて、どうして髪切らないんですか」
「それを聞くのか一年」
「南沢さんもそう思いません?」

そう思ってずっと封印し続けてきた質問を入部したてのこの後輩はいとも簡単に口にした。悪気なんかひとかけらももってないような顔をして聞いた松風に、霧野はちょっと焦った表情をして「別に理由なんかないよ」と言った。なんだ、そうなのか。

「僕、なんでマネージャーがサッカーしてるんだろうって一瞬思いましたもん」
「ぶはっ。そりゃひでェ」
「特別な理由が無いなら、切ったらいいじゃないか。少しは女子に間違われる回数も減るだろ」

良かれと思ってそう口にしたら、「神童もそう思うの?」と霧野が聞いてきた。そうだと返事をしたらそれっきり霧野は黙ってしまった。俺、なにか悪いこと言っただろうか。でも、もし霧野が本当に髪を切るってなったら今のうちにこの姿を目に焼き付けておかないと。なんだかんだで、霧野はいやだったかもしれないが、俺はその真っ直ぐでさらさらな髪が羨ましかったし、好きだったから。

「あっそ。……じゃー、切ろうかな」

もうばっさりと、オレだとわからなくなるまでと霧野はさみしそうに言った。



きみを一番理解してるつもりだったけど
110725
title::確かに恋だった

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ありがちネタですね。


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