「あっちー……どけよヒロト」 「……やだ」 寝苦しさで目か覚めると腰のあたりに妙な感覚があって、横向きに寝ていたのだが毛布を剥がして後ろを見たら、ヒロトがそこに腕を回して寝ていた。ムリヤリ剥がそうとしていたら起きてしまって更に力が加わった。もう十二月だけど、毛布+掛け布団+人の体温は俺にとって暑い。 「寝るなよ。オイ」 「寝かせてよぉ…晴矢体温高いから、布団の中あったかいんだもん」 「俺は暑いんだよ」 また更に力が加わる。暑い。でも腰なんかに腕回して変な気おこされないだけラッキーかもしんねぇ。流れでヤるなんてなったらこの暑さどころじゃねぇもん。 「ハァ…」 仕方ないから、寝ることに努めようと目を閉じる。あぁ、暑い。いや、何も考えんな俺。 「晴矢……好き」 「へ!?」 「あったかい、から」 「…あ、そ」 もぞもぞと動いてヒロトが後ろから顔を覗き込んできた。怒ってる?なんて眠そうな虚ろな顔で聞く。怒ってないけど。俺、アンタのオモチャだし。その一言一行に振り回されるのには慣れているつもりだ。 「眠いんだろ。怒ってねーから寝ろよ」 「うん。ありがとう」 そのまま顔を引っ込めて寝りゃあいいのに、ヒロトは触れるだけのキスを俺に残しておやすみと言った。 「〜〜!!!」 前言撤回。まだ慣れるのには時間がかかるかもしれない。 火照った顔が熱い。既に寝息をたてているヒロトとは裏腹に、俺はしばらくの間寝れないのだった。 体温は裏切らない情報である 110812 title::子宮 |