自意識過剰だと本当は言ってやりたい。 | ナノ



「エスカバ。オレを花にたとえるとしたら何だと思う?」
「はい?」

己の胸に手を当てさあ早く言えとでもいいたげな顔でミストレはオレをみるけれど話が急すぎて全く付いていけない。本当に自分のペースだけで行くヤツだ。

「待て待て。話が見えない」
「? 簡単だろ。このオレの美しさを花でたとえるなら何だって言ってんの」
「ハァ?」
「そうだね。君を例えるとしたら、まあ、雑草ってところだ。さ、オレは?」

目を輝かせてミストレはオレをみるけど、さらっと失礼なことを言われた気がする。残念なことにそんな扱いにも慣れてしまったわけだけど。
どうやら答えないと離してくれないらしいので、オレは昔百科事典でみたような花の名前を思い出していく。

「どう? 思いついた?」
「あれ……蠅捕草」
「縛られたいわけ?」
「冗談だ!」



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