「真ちゃん、おれ、真ちゃんのこと、すきだよ、ねぇ…、すき、」

高尾は毎日、おれに愛を囁く。

(……知っているのだよ、そんなこと!)

高尾はおれのことがすきだ。…こう言うと、自意識過剰な奴だと思われるかもしれない。だが、事実だ。なぜなら、毎日毎日毎日毎日、

「真ちゃん、おれ、真ちゃんが、すきだよ」

高尾は、おれに愛を囁く。

たとえば、登校中に19cm下から。たとえば、授業中にふりかえって。たとえば、昼食中にやきそばパンの隙間から。たとえば、部活中に3Pがきまった後などに。

聞こえるか、聞こえないかの声で、…すきだよ。

(……じれったい奴め!)

もういっそのこと、はっきり言われてしまいたい。そうしたら、楽になれるのに。今はもう、ただただ、もどかしくてもどかしくて、

(それに、恥ずかしくて、)

もういっそのこと、肩を抱かれてその気になってしまいたい。

(そして、いつもは言えないことを吐きだしてしまいたい)

真ちゃん、おれね、真ちゃんが、すきだよ。

(……おれも、いやでは、ないのだよ)

でも、ああ、じれったい奴め!おまえが不安そうに瞳をゆらしているから、おれは、おまえに、いつまでたっても、なんにも言えやしない!

「ねぇ…、真ちゃん、すき、」

知っている!知っているのだよ、そんなことは!おれは、おれは、その先が、その先を、

(聞きたいのに、)

おまえは、おまえは、いつまでたっても、おれの肩を抱かない、抱こうともしない、

(もう、いいかげん、)

その気にさせてくれ、

高尾、

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