公園を幸せそうに歩いている家族を、羨ましそうに見つめる瞳に、おれはたしかに焦りを感じたんだ。
離別
離れていく!と思った。直感?たぶん、もっと強いなにかによって、たしかに。離れていく、と。
目を逸らしていた、今も逸らしていたかった、離れていくこと。
家族は兄弟は、おれたちは、いつか必ず、離れていくこと。
死で?いや、それよりも前に、婚姻という新たな繋がりによって、子どもという新たな繋がりによって、離れていく。
おれたちは離れる。いつか、それは今ではないけれど、いつか、近い、いつかに、離れていく。
耐えがたい苦しみがおれの心臓を引き裂く。耐えがたい悲しみがおれの瞳を満たす。耐えがたい焦りがおれの脳で暴れる。
(離れていく!)
おれたちは離れていく、おれたちの繋がりは消えていく、おれはひとりになる。いつか。
いつか。いつかいつかいつか。
離れていく。
(……いやだ。『絶対』に、)
離さない。