死にてぇ死にてぇ死にてぇ死にてぇ死にてぇ死にてぇ死にてぇ死にてぇ、死にてぇ、
「ねェねェッ、どうするゥ?」
「エ〜?なにがァ?」
「もゥッ!明日はァ、」
「ナーニ?」
「クリスマス・イブでしょオ〜?」
「エ〜、そうだよォ〜?だからァ?」
「だァかァらァ、明日もォ、たーくんにィ、会いたいよって言ってるノッ!」
「マジでェ〜?ユミちょーかわいいんダケド〜?」
「あんッ、やだァ〜!たーくん、ヤメテよォ〜!」
「エ〜?ユミがかわいいんだモ〜ン?」
「もォッ!バスの中だよォ?ネッ、たーくん、つづきはユミの部屋でしよッ?」
「イーヨ?じゃア、おれ、コンビニよってゴム買ってくっからさァ、ユミ、先に行っといてェ?」
「ん〜、わかったァ、じゃあネ、たーくん、また、あとでネッ!」
「アハハ、ユミ〜、愛してるぞォ〜?」
「やだァ!たーくん、サイテェ〜!」
(サイテーなのはおまえだ!!!!!!)
ちくしょう、ちくしょう、リア充クソバカップルめ!明日が、クリスマス・イブが、死にたくなるほど憂鬱な奴だって、世の中にはいるんだよ!おまえらみたいな奴ばっかじゃないんだよ!おれみたいに、わけもなく街をさまよって、おれは寂しくないよアピールしてる奴だって、いるんだよ!いるんだよ!ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!しね!サイテーなのはおまえだ!ユミしね!エロい身体しやがって!このクソ寒いのにミニスカとか誘ってんのか?ふとももムッチムチだな!ヤらせろ!っつーか、ヤらせてくださいお願いします。
(あっ、ああ、あと、たーくん、おまえもサイテーだからな!!!!!!!!!)
バスの中で、っつーか、おれの前で、ユミの、っつーか、女の、女のパンツん中に手ぇ入れやがってよぉ!羨ましすぎんだろ!そんで、これからセックスかよ!どーせ、明日も明後日もヤんだろ?盛りのついた獣か、たーくん、おまえは!盛りの!ついた!獣か!おまえは!たーくんしね!っつーか、イケメンだな、たーくん!ユミにはもったいねぇよ、たーくん!たーくん、マジイケメンだよ、たーくん!
「ほらなーっ!兄ちゃん、わかったろ?」
ユミとたーくんに必死に罵詈雑言(など)を浴びせていたおれは、反応が遅れた。
「兄ちゃん?兄ちゃん!わかったろ?」
たーくんが、おれを、兄ちゃん、と呼んだ。たーくんが、おれを、兄ちゃん。兄ちゃん?兄ちゃん?だれが?だれの?兄ちゃん?おれが?たーくんの?……兄ちゃんッ?
「はっ?えっ?なっ?はぁっ?」
ぐるぐるしてる間に、たーくんに手を引かれて、バスを降ろされた。たーくんはおれをじっと見ている。じぃーっと。
(どどどどうしよう!睨んでたのバレた?悪口が口から出てた?ユミをエロい目で見てたのがバレた?それとも、ほんとにたーくんはおれの弟なのかも?生き別れの?)
「………お兄さん、」
ギュウウッ。たーくんの手を握る力が強くなる。っつーか、おれたち、いつまで手ぇ繋いでんの?…えっ、ちょっ、たーくん、肩ふるえてんだけど。たーくん、泣きそうなんだけど。たーくん、もしかして、感極まってる?えっ、マジで生き別れの弟?
「お兄さん、あの、いきなりあんなことして、すみません、でした。でも、おれ、どうしても、お兄さんに、話したいことがあって…、」
たーくん…、そうか、きみはおれの弟だったのか…。ううん、いいよ、たーくん、大丈夫、むりに言わなくてもいい。わかったから。なぁ、たーくん、これからはおれもいっしょだ。二人で生きていこうな!
(…って、ないないないない、ない)
どーせ、芝居だ、こんなもん。てきとーに流して、てきとーな路地につれてって、てきとーな理由で、ガチで殴られんだろ?ははっ、おれは騙されねぇぞ、たーくん、いくらおまえがイケメンだからって、おれはリア充を信用しない!
「お兄さん、あのっ、あの、おれと…、」
つきあってください!
「…は?」
すきなんです!
「…すきなんです?」
はい、すきなんです!
「これは…、」
ななめうえだなぁ、ははっ、たーくん、さっすがイケメンリア充はちがうぜ!