「筧、」

するりと肌を撫でる。筧の肌は白くて冷たくてつるつるだ。桜の花びらみたいな手触りで、すごく気もちいい。

「筧、きれい」

きれいな人っていうのは、肌がきれいな人のことなんだ、と俺が初めて知ったのは筧の肌に触れてからだった。きれいな人のきれいな肌は、手に吸いついてくる。手を離したくない。ずっと触っていたい。そう思わせる魅力がある。

「きれい」

初めて筧の肌に触ったあの感動を俺は絶対に忘れない。爪先からぞくぞくきた、あの快感を、俺は絶対に忘れない。

「筧、かけい、」

セックスしたい、って思った。この肌に全身で触れたらどれだけ気もちいいんだろう、って思った。きっと気もちよすぎて死んじゃうな、って思った。死んでもいい、って思った。セックスしたい、って思った。

「きれいだ」

筧にはそれだけの魅力があった。

「…ッ、水町、」

俺は筧と肌を合わせている。筧が全身で俺に吸いついてきて、俺は気もちよすぎて死んじゃいそう。昔の人がセックスを肌を合わせるって言ってたけど、それすごくわかる。肌を合わせるように、二人で抱き合っていると、なんだか溶け合って丸い球になっていく気がする。すごくふわふわする。すごく満たされてる。すごく気もちがいい。ああ、昔の人もこの気もちよさを知ってたんだろうなぁ。だから、セックスを肌を合わせるって言ってたんだろう。

「なぁ、筧、俺さ、今、すっげぇ幸せ」

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