「痩せてる女が、スニッカーズを食べてるのを見ると、殺したくなるのよね」

んー…、そりゃ、あんたがデブだからじゃねーの?

(ま、んなこと言えねーんだけどさ、)

だって、んなこと言ったら、おれが殺されちまうからな、ははっ!ああ、おれって、ちっせー男!

「ねぇ、むかつかない?どーせ、痩せてるから、カロリーなんかまったく気にしてないのよ?あんた、スニッカーズのカロリー知ってる?っていうか、聞いてる?」

聞いてない!し、聞く気もない!

「ん〜?へへ、おれはねぇ、やぁらかい女のほうがッ、」

ンッ、アッ、ナニスンノヨォッ、バカッ、

「興奮しちゃうけどなぁ?」

え〜、だって、おれが興味あるのは、身体だけだからさぁ。スニッカーズがどうたらとか、太ってる女がどうたらとか、どーでもいいんだよなぁ、なんかすんませーん。

「ふはっ、いい匂いがするぅ、ね、興奮してんの?へへ、かーわいっ、舐めちゃお」

女はやぁらかいほうが気もちイイから、痩せた女とあんまヤらないだけで、太ってる女がすきとかじゃねーんだよ、おれ。デブはさ、やっぱデブだと思うし。あんたはそーゆーのを期待してるっぽいから、悪いなー、とかは思うんだけどさ、言えねーよな、んなこと。

(だぁって、言ったら、おれ、クズ!)

ってキレられちまう。女のキーキー声だけは、がまんできねーんだ、死にたくなっちまうからさ、すんませんね、なんか。

「あれぇ、もうイッちゃった?舐めてただけだなのになー、イくの早くない?」

とろとろにしてやれば女はヒステリックに鳴かない。し、おれも気もちイイ。んー、なんかさぁ、それでよくない?ハッピー…、ハッピーじゃない?まぁ、愛とかはないけどさー、べつにいいよな、なくても。

「………ねー、あんた、あたし、すき?」

とか!思ってたのに、こ、れ、だ、よ!あー、もういみわかんねー、すき?じゃねーよ、すきなわけねーだろ、ばっかじゃねーの?あんた、じ、い、し、き、か、じょ、う!おれたちは、セッ、ク、ス、フ、レ、ン、ド!OK?

「えっ?」

でも、ちっさいおれは、OK?なーんて、訊けるわけなくて、口をひきつらせて、へらっ、と笑うことしかできなかった。(なっさけねぇなぁ、って?知ってマース!)

「いみわかんねー…」

いやなんなんだろーね、女っつーのは。どこでキレるか、ぜんぜんわかんないし、キーキーうるさいし、叩くし、泣くし、出ていくし。出てい…、ねぇ、おれたち、今、セックスしてたよねぇ?

(えーッ、女って、がまんできんの?)

イッたけどさ、挿入れられてはないのに、がまんできんの?イッたから?いいんだ?おれだけ?出しても、挿入れるまで、終わり!って思わねーんだけど?

(女って、すげー…なー…)

女は感情で生きてるって、言ってたあいつ、ばかにしたけど、次に会ったら、奢ってやろう。

「うん、いーよ。…あ、でもさ、」

あの女が出ていったあと、煙草を吸いなが、バッグやパンツやケータイをコンビニのビニール袋にまとめて捨てたら、翌日から、おれはクズになっていた。笑っちゃうね、おれが思ってたよりクズのハードルは低いらしい。

「それって、セフレでもいい?」

で、おれが学んだこと。そーゆー関係になるまえに、ちゃんと言っとくこと。セフレでいい?ってちゃんと訊くこと。いいよ、って言う女としかヤらないこと。

「こりてねぇ?いやいや、めちゃこりたよ。いろいろ学んだし。ま、女ウケは悪くなったけど、しかたないよなぁ」

あと、スニッカーズがどうたらとか、うざいこと言う女とはヤらないこととかも。

「え?今?えー…と、5人?ちょっ、いやいやいや、クズじゃねーって!だって、おれ、ヤるまえに、セフレでいい?って訊いてからでしか、ヤらねーようになったから!進歩だよ、進歩進歩、大進歩!」

だーかーらー、そんな冷めた目で見んなって、なっ、美樹!

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