きみとぼくは、恋愛、なんて、崇高なものじゃないって、言ったはずなんだけど。若いっておそろしいなぁ。……恋愛、ねぇ。
「だ…ッ、だって、あたし、まだ16歳なんですよ。愛してるも、恋してるも、ほしいんです…ッ。あっ、あたし、わが、わがままかもしれないけど、あな、あな、あなたに、すきになってほし…ッ、」
愛してるはあげれるけど…、おじさん、恋してるは自信がないなぁ。
(…なーんて、言えないなぁ。これは、)
若さ、というか、幼さというか?とにかく、これは狂気で、凶器だ。ただ本能に忠実に、貪欲に愛を欲する、まさに狂気。まっすぐな言葉、ナイフのように、俺の心を刺す、まさに凶器。狂気凶器狂気凶器狂気。
(…きょうき、に、殺されてみようか)
なんちゃって。嘘、嘘、嘘だよ。………、
(…あれ、けっこういいかも)
セックスフレンドは、もう飽きた。かるくてかるくて、かるくて、すばらしく楽だったけど、なんていうかな、楽あれば苦あり?ちがうか、でも、楽ばっかじゃ、飽きちゃうんだよなぁ。
だから、そろそろ恋愛でもしようかな、なんて、うすーく思ってたりはしてたから。
でも、ふつうの恋愛じゃあ楽しめないな、って、はっきり感じてはいたから。
そして、今。16歳のきょうきが叫んでいる。あたしと恋愛して!
どうしようかな。歳の差が気にはなるけど、頭のどこかで、それも恋のスパイスさ、と囁いてくるぼくがいる。
ああ、どうしよう?悦楽に身をまかせちゃう?若い身体をむさぼっちゃう?幼さにときめいちゃう?愛しちゃう?恋しちゃう?
(…本能の、ままに?)
あれあれ?けっこういいかも、よ?
「愛してるはあげれるけど…、おじさん、恋してるは自信がないなぁ」
絶望、そして、怒り。ああ、なんて若い!いや、幼いというべきかな?
「でも、まぁ、努力はしようかな、」
なんて、思っちゃった。カオリちゃんがかわいいから、ついつい、ね。とつけくわえるのも忘れずに。これも恋のスパイス!
恋愛、はじめました。
えっ、うそ、うれしい、夢みたい…っ!
抱きついてきた女の子、ふにふにしていてやわらかい。かわいい。これなら、とぼくは思う。これとなら、恋できるかも。
「うれしい、ユウヤさん、毎日、メールしてくれるんですねっ!」
あっ、ごめん。やっぱりむりかも。おじさん、メールは愛せないや。