「うわああああ!」

うおっ、びびった〜。なに?飼育員だし。

「あーあ、まーたコケてるし」
「ほんっと、ドジだよな〜。まあ、そんなとこがかわいいんだけど」
「はっ?かわいい?」

なに言ってんの、大上。まあまあ、知多、よーく見てなって!

「ああっ!レディ!おケガは?おケガはありませんか?」
「飼育員さーん!大丈夫ッスかーっ!」

あっ、うん、大丈夫。えへへ、ありがとー、ゴリコンくん、イガラシさん。

「ほらっ!あの笑顔!見た?」
「見た!あれかー!」
「パァーって花が咲いたみたいだろ?」
「うんうん!」
「かわいいよな〜!華ちゃん!」

あっ、シシドだし。おっ、ほんとだ。

「…なぁ、シシドはどう思う?」

華ちゃん、かわいくない?



(……かわいいってなんだ?)

あのメスは…、ドジで、まねけで、トロくて、うっとおしいけど、けど、きらいじゃねぇ。きらいじゃねぇ…けど、

(けど、あのメスはかわいい?のか?)

う〜ん、体はやわっこくて…、食ったらうまそうだ。とは思う。でも、ドジだし、うっとおしいし…、

『よかったぁ…、シシドくんがケガしてなくて…』

…ッ!わっかんねー!かわいい?かわいいってなんなんだよ!知ったかぶりの狼め!クッソ、イライラするっ!

「あっ、シシドくーん!……あぎゃ!」
「……なにコケてんだよ、メス!」
「いたたた、ごめん、ごめん」

地面に座りこんで、腰をさすっているメス。なんか、この光景…見たことあるぞ。

『わっ、華ちゃん、大丈夫?』
『いたた、うん。ごめんねー、大上くん』
『なんで華ちゃんがあやまるんだよ。ほら、つかまって』

えへへ、ありがとー、大上くん。

「…………ッ!おい!メス!」

イライラした。なんでかわかんねぇけど。

「へ?なに、シシドくん、……きゃあ!」

なんでかわかんねぇけど、…狼にヘラヘラ笑ってんじゃねぇよ!

「うわわわわわ、おっ、おろして!シシドくん!大丈夫!もう大丈夫だから!」
「うるせー!うるせー!笑えよ!」
「わっ、笑う?急にはむりだよ!」
「はぁぁ?なんで狼にはできて、俺にはむりなんだよ!ってか、なんでそんなにあわあわしてんだ!」
「だって、だって、お姫様だっこなんて…、恥ずかしいんだもん!お、お願いだから…っ、おろしてぇぇぇ!」

んん?

「あれ?なんか飼育員とシシドが仲よくなってね?」
「そお?前から仲よくない?」
「えー?そうかぁ?」
「そうだよ。だって、シシド、華ちゃんのことよく見てるだろ?」
「ええ〜、覚えてないし」

うふふふ。うおっ、ウワバミ、どうした?不気味だし。失礼ね、知多。なんでもないわよ。

(うふふふ、なーんだ、やきもちなんて、バカネコもかわいいとこあるじゃない!)

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