01 | ナノ



「久しぶりですね」
本当に何年ぶりだろうか。
久しぶりに見た君はとてもキレイで。
『そうですね、10年くらいでしょうか』
「あんまり変わらないね」
『あら、貴方だって』
こんな話も懐かしく、
昔を思い出す。

『今は何をしていらっしゃるの?』
「今…今はそこそこの仕事に」
敬語がくすぐったい。
『あら、そうなの』

「ねぇ、敬語やめよ」
『ふふ、同じこと思ってたのね』
笑顔すら可愛い。
10年前と変わらないな…。


『10年前好きだったな、貴方のこと』
まさかの告白。
「え、なんで今なんだい」
いや、両想いだったのか。
「僕も好きだったんだ、君のこと」
『あら、両想いだったのね』

「あ、もうすぐ仕事の時間だ」
そう音楽の仕事。
君が観てくれますように。


今日も君を思って音を鳴らすよ。