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しばらくじっとしてはみたものの、なんだか落ち着かない。
上から覗くだけ、と自分に言い訳をして部屋を出てみた。
「……!」
「…………。」
「………鬼道さん……」
「………」
何やら話し声が聞こえたのだか、さすがに会話内容まではわからない。でも「鬼道さん」って聞こえたから友達、だろう。
そこで私の脳内思考は思い当たる。私が姉としておもてなししてあげるべきではないのか。そうすれば、あのどこか私の事を馬鹿にしている有人も私の事を偉大な姉と認識してくれるはず。
思い立ったら即行動という言葉の如く、私は階段をスキップで降り立った。だがしかし、私の中で最善策との判断が出たからお迎えにいったのに、迎えられた有人本人はどうやら来てほしくなかったようで頭を抱えている。これに行き立った事のあらましを全て説明すると有人は呆れた顔をして言った。
「そんな幼稚な脳内回路だから馬鹿にされるんだ」
「だってぇー…」
「あとで構ってやるから部屋に戻ってくれ」
「ほら馬鹿にするー…わ!?」
私の事をやっぱり馬鹿にする有人を見ていたせいで、うっかり足を階段から踏み外した。当然のことながら、万有引力により有人たちの方へ落下する私。やばい。
「うわぁぁ!?」
このままいくと、確実に顔から階段の下へダイブだ。それは避けたい、これでもれっきとした女の子なのだ。あぁ、もう怖くて見ていられない、無意識に目を閉じた。
「うわっ!」
思ったほど衝撃がしないと思ったら、私は有人の友達らしき人に抱き止められていた。
とても綺麗な薄水色の髪の毛をしている、人。
思わず見惚れてしまった。
綺麗な人だなぁ、男かな、女かな。
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