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インターホンがなってから小走りでドアに向かう私。明王ちゃんに言われていたから夜は開けておいたんだけど、誰だろう。隣のおばちゃんとかだと立ち話が長いから明王ちゃんに怒られちゃう。
「はーい、今出ます」
ガチャリ
「………え」
「久しぶりだな、名前」
目の前に広がる銀髪は、私の見覚えがある銀髪だった。どうして佐久間くんがここに。しかもスーツなんて着ちゃって。すごいカッコイイ。私の顔ぜったい赤くなってる。
「どうして…」
「言っただろ、また来るって」
はい、と手渡されたのはいつぞやの限定品モンブラン。え、え、ちょ、待って。どういうこと?訳がわからない、パニックだ。
「じ、ジロウ……」
「そうだ、俺の名前は佐久間次郎。今日は話があって来たんだ」
「ジロウは、佐久間くん…?」
「あぁ」
う そ で し ょ
私、ジロウの前では誰にも言えないことばっか言ってた気がする。猫だから、とか思ってた数日前の自分を全力でぶん殴りたい。いっけぇぇっ、ってタイムループしたい。…てかやばい、ジロウに何言ったっけ?とりあえず久遠さんの事と、明王ちゃんからの告白と…あと…。
私の佐久間くんへの気持ち。
………死滅、私。
そんな絶望に見舞われている私の前に、彼は立っている。
「今までありがとう。名前、好きだ」
目の前が銀髪から薔薇色に変化した。肉体的にも、精神的にも。私の腕には彼に渡された薔薇の花束が。
「え、え、」
薔薇の花束を片手に私の思考回路はうまく回らない。えっと、どういうことだ?
「名前、返事をくれないか?」
「あの、ええと、その、」
私は大きく深呼吸して自分を落ち着けてから、言った。
自分でも驚くほど大きな声で、はっきりと。
もうちょっと続くはず…!(`・ω・´)
2011.5.6 編集
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