21___



「オイ、できたのかよ?」

「…あぁ」


お気に入りのカッターシャツに、ネクタイ、縦縞の入った上下スーツ、そしてちょっと奮発して買ったローファーに足をいれる。いわゆる正装だ。手には大きな色とりどりの花束。


「…正装に花束かよ」

「気合い入りすぎ、か?」

「ま、いいんじゃねぇの」

「不動、」

「言っとくけどな、名前泣かしたりしたらただじゃおかねぇぞ」

「あぁ」

「ったく、この俺様が大人しく引いてやってんだ、しくじんじゃねぇよ」

「不動、ありがとう」

「勘違いすんじゃねぇ。俺は名前に幸せになってほしいだけだ」

「…あぁ」

「ったく緊張しすぎだっての。早くいかねぇと花枯れんぞ」



不動とはなんだかんだあったが、こうして今、自分の好きな奴の幸せを願って俺を送り出してくれる。もしこれが俺だったらできないと思うと思ってしまう、やはり不動は大人なのかもしれない。


「…行ってくる」

「無様な姿見せてくんなよ、佐久間ちゃん」

「あぁ」


俺は重い重い1歩を踏み出した。









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -