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けたたましい着信音で目が覚めた。アラームと着信音は自分で変えてあるのでよくわかる。大音量のアヴリルを朝から聞くはめになるなんて。…え、着信?
「も、しもし」
「…寝ていたのか」
「んー、有人かぁ…」
「おい、寝るな。めずらしくまともな出方をしたとおもったら…」
「どうしたの朝早くに…」
「もう昼だぞ。そろそろそっちに行かせてもらう」
「うん……えっ、昼!?」
だんだんと頭が覚醒していく。有人が大きなため息をはいた音が聞こえた。
「そういうことだから、ご馳走楽しみにしているぞ」
「ゆ、有人のいじわる!」
あ、切れた。どうしよう、今から顔を洗って、髪の毛とかして、化粧して…。そもそもなんで私はこんなにも寝坊したんだろう。毎朝決まって7:30にジロウが顔に乗ってきて嫌でも起きなきゃいけなくなるのに。
「あれ?」
いつも隣で寝ているジロウがいない。どこいったんだ。そういえば明け方寒かった気がする。
「ジロウー」
呼んでみるが、物音ひとつしない。どういうことだ、急に不安にかられる。
「ジロウ?」
リビングに出てみても、やはりジロウの姿はない。そのかわりにテーブルの上にメモがおいてあった。
「名前へ
今までありがとう。また来る。
次郎」
隣の人が回覧板を回すためにインターホンを押すまで、私はメモを片手に動けなかった。
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