17___



「にゃああ」

「はいはいわかったから。えっとー…もしもし?」


ジロウは電話がなると急に騒ぎ出す癖がある。最近気付いた癖だが、基本的に頭がよくて割と行儀のいいジロウの珍しい癖だった。今もまたジロウを宥めつつ電話に出る。あれ、有人からだ。


「有人どうしたのー?」

「…最初は普通、もしもしじゃないのか」

「いーの。で、どした?」

「明日家に行ってもいいか?」

「明日?いいよ全然!ご馳走用意しておくね!」

「ほう、楽しみにしておく。ところで…」


急に有人の声が鈍る。いつもハキハキと話すのに一体どうしたんだ。


「前に家に来たときに会った、佐久間の事を覚えているか?」

「佐久間くん?覚えてるよ」


あ、ジロウがソファーから落ちた。大丈夫かな。


「それがな、佐久間が行方不明なんだ」

「………えええ!?行方不明!?」


あれ、ジロウが落ちたまま動かない。やばいかも。


「ここ数日間連絡が全くとれなくてな、家に行ってみたんだが帰ってないらしいんだ。だから見かけたら連絡たのむ」

「う、うん…」

「それだけだ。では切るぞ」

「ば、いばい」



ガチャリと受話器を置く。佐久間くんがいなくなった、なんて。


「にゃおん」


やっと復活したジロウが座っている私の膝に乗ってきた。頭を撫でながらジロウに話しかける。


「佐久間くん、大丈夫かな…」

「…」

「ねぇ、ジロウ。


私ね、佐久間くんに恋してたみたい」


ジロウはピクリとも動かなかった。








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -