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「明王ちゃぁぁんっ」
「ハイハイ、わかったから」
「だって私、すびっ」
「ンな顔してねぇで鼻水ぐらい拭けよ」
「……。明王ちゃぁぁん」
「だぁぁ!鼻水つく!」
年下の友達、明王ちゃんに抱きついて泣きわめく私。今さらみっともないとも思わない。明王ちゃんなんてまたか、みたいな顔してるし。どこでどうやって会ったかは忘れたけど、私と明王ちゃんは今ではお互いの家に泊まりあう仲だ。普段は強がっている明王ちゃんもやっぱり一人暮らしは寂しいものがあるようで、なんだかんだ私の事を面倒見てくれる。
「で、今日はどうしたんだよ」
「あのさ、笑わないでよ?」
「約束できねェな」
「ひどい!……あのね。
家の鍵なくした」
「はぁぁぁ!?」
お前バカだろ、とかなんとか叫びながら明王ちゃんは大きな目を更に開く。
「笑えねぇよ!どうすんだよ!」
「だから…その…あの…」
「ンだよ?」
「…見つかるまで泊めて?」
「てめっ…!」
明王ちゃんの綺麗な側頭に青筋が浮かび上がった。密かに血管フェチだったりする私は、うっとりと明王ちゃんの頭を見つめた。
「どこみてやがる」
「明王ちゃんの頭…」
「泊まりてぇんじゃなかったのかよ…」
「あ、そうだった!お願いっ!」
「ったくおめェはいつも…早く見つけやがれ」
「ありがとう明王ちゃんっ!」
「だ、抱きつくんじゃねぇ!離れろバカ!」
「明王ちゃーんっ」
私はこれから明王ちゃんの家に泊まる生活が続きそうです。
(お前、拾った猫は?)
(ジ、ジロウぅぅぅ!!!!!)
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