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「名前ー?」

「ん、どうしたの?」

「この後暇?合コン組んであるんだけど、来ない?」

「あー、ごめん。やめとくー」

「言うと思った。名前は久遠さん一筋だもんねー」

「ち、ちがうしっ!!!」

「ははー説得力皆無だわー」


大学で3コマ目の講義を受けた後、友達に合コンに誘われたけど断った。口では否定してみたけど実際今日は憧れの久遠さんに会いに行く日。久遠さんというのは有人の所属しているサッカー部の監督で、私が有人の忘れ物を届けに行った時に会った。所謂一目惚れというやつだ。今日も有人に会いに行くついでに(逆でもあるが)久遠さんの姿を拝みに行く予定だ。

帝国大学から雷門中まで歩いて15分、私にしては珍しく何も大きな事は起きずに割りとすんなりと着いた。

「ゆーとぉー」

「そんなに大きな声を出さなくても聞こえる」

「お、来た」

「今から部活なんだが」

「えー一緒に行くー」

「監督目当てか?」

「そ、そんなことないしぃー」

「……顔に出さない練習をすべきだと思うぞ」


有人に冷たくあしらわれながらも私は雷門中へと共に向かう。久遠さんに会うんだもん。うわーお話できるといいなー。雷門中へ向かう間も久遠さんの事ばかり考えていた。今日もクールなんだろうな。何故か一瞬、頭の中に佐久間くんの顔が浮かんだのは一体何だったのだろう。








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