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「ねぇジロウ。今日はねー、源田くんに会ったんだよ。あ、源田くんって言うのはねー…」

「ふぎゃあ!」

「あーもー、じっとしてて!でね、源田くんっていうのはね、有人の友達でね、茶髪のイケメン君の事。その源田くんがジロウのご飯選んでくれたんだよ。私全然分かんなくてー」


そんな独り言紛いな事をしながらもジロウを洗う手は止めない。本当なら一緒にお風呂に入ってしまった方が楽なのだけど、ジロウが異常な嫌がり方をするのでやめてこうして洗面所で洗っている。


「源田くん優しいなぁー。きっとモテるんだろうなぁー」

「に゛ゃ!!!」

「ちょっと痛いジロウ!」


ジロウとケンカしながらも洗い終えて、ドライヤーで長い銀髪(?)を乾かす。サラサラとなびいてとても綺麗だった。ジロウは気持ち良さそうにしているので私は話を続けた。


「そういえばね、有人に会いに家帰った時に源田くんに会ったんだけど、その時めちゃくちゃ綺麗な銀髪の子がいたんだよー。ジロウみたいな綺麗な銀髪なの。たしか…佐久間くんって名前」


ぴくり、とジロウが動いたので、また引っ掻かれては堪らないとドライヤーを止めた。しかしジロウは攻撃してくる様子もなく、むしろ話の続きを聞きたがっているような気がしたので、私はまたドライヤーのスイッチをいれて話を始めた。すごい勝手な解釈だけども。


「その佐久間くんはね、私がまたいつものドジで階段から落ちた時に受け止めてくれたんだ。最初は綺麗な子だなぁって思ってたんだけどその時めちゃくちゃカッコよかったんだよ!」


ジロウは大きな橙色の目をパチパチと瞬きしている。珍しくジロウが大人しく私の話を聞いているので私は調子に乗って色々と話し出した。


「私を受け止めてくれた佐久間くんと目があったんだけどさ、これもまた綺麗な橙色で…。あれそういえばジロウと佐久間くんってそっくり!ジロウも大人しくしてればカッコイイもんねー、大人しくしてれば」


見事にジロウに引っ掻かれたのは言うまでもない。








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