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「名前、起きて」
僕はジョギングから帰り、シャワーを浴びて
いつものごとくソファーで眠っている彼女を覗き込む。
僕の真っ赤な髪の毛がそうであるように
名前の柔らかいピンクブロンドの髪の毛も地毛であるから
キラキラと彼女の睫毛が光を反射している。
反射して零れた光の欠片を僕の手で掬いとると
んん、と呻きながら名前は起きた。
「む…おかえり、ヒロト。
卵焼きは焦げる3分前…」
「今日は卵焼きの夢かい?」
のろのろと起き上がり、名前自分の制服を取りにいく。
毎度毎度、寝ぼけると僕の黒歴史とも言えるエイリア時代の事を掘り返してくるくせに
名前だけはいつも"ヒロト"と呼ぶ。
「…そういえば名前に"グラン"って呼ばれた事ないかも」
そう僕が溢すと
耳のいい名前には聞こえていたようで
彼女は振り返って言った。
「グランは嫌、ヒロトみたいに髪がふわふわしてない」
「、そっか」
なんとも彼女らしい理由で少し笑えた。
「ねぇ、ヒロト。卵焼き作って」
「お安いご用さ」
さて、彼女が着替えるのが早いか、僕が卵焼きを作るのが早いか、競争だ。