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「うわぁ…!」
お客様、お似合いです!とお世辞なのか本音なのかが定かではない言葉を吐く店員の視線の先には、私。
普段なら絶対に履かないような華奢なデザインのパンプスはヒールが高くて大人気分。中にはいているパニエのおかげでフワッと広がるピンクのスカートの裾からは可愛らしいレースがちらちら見え隠れしていて、小花柄のカットソーの上からゆるい女の子らしいパーカーを羽織っているおかげでだいぶ柔らかい雰囲気になっている。しまいにはうっすらだけどメイクもされていて、自慢のピンクブロンドの髪はコテでくるくるに巻かれているだけではなく低めのツインテールに結わいてある。
ここまで、人は変われるんだ。
「お連れの方を呼んできましょうか?」
「あ、お願いします…」
なんだか可愛くなった自分が嬉しくて、鏡の前でくるりと一回りしてみる。ふわっと広がるスカートが新鮮で、感動的だった。
ところで私はなんでこんなオシャレをしているんだろう。ついでにこれ、全部でいくら…?
「名前…?」
「あ、一朗太」
「う、わ…すげぇ可愛い…」
「ね。この服可愛い」
「服もだけどさ、お前も可愛いぞ。鏡みてみろ」
「ぬ、ありがと」
嬉しくなって、また一回転。ふわふわ。
「よし、これで基山への勝負服ができたな」
「………え」
「次はアクセサリーだ」
「ちょ、ちょっと」
「ん?」
「ヒロトには、かのじ…」
すると突然一朗太はくるっと振り返って言った。
"そんなの、奪えばいいんだよ"