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結局名前は帰ってこなかった。そして僕は一睡もできないまま朝を迎えるはめになった。

きっと彼女は風丸くんと仲良くやっているんだろう。名前の好きな人は風丸くんだったんだ。そう認識した途端に風丸くんが憎くなるのだから人間ってほんと醜くできてると思う。


おもむろにケータイを開くと、着信3件、メール5件。全て僕の彼女を気取っている女の子たちから。受信Boxを開く気にも、ましてや返事をする気にもならない。なんで名前だけは手に入らないの、あぁ。


暫く動く気にもならず、ベッドでゴロゴロしていると、電話がきた。ディスプレイには知らない番号。きっと"彼女たち"のうちの一人だ。めんどくさい。


「もしもし、」



(あ、ヒロトやっと出たぁ!
あのさ、暇ならデートしようよぉ)


甘ったるい声は寝不足な僕にとってうざったい以外の何物でもないけれど、このままずっと一日中ベッドで過ごすわけにもいかないので行くことにした。


本当はめんどくさいし、嫌だし、行きたくないし、

名前以外になんて触れたくないのに!
でも僕は自分の中の矛盾に打ち勝つ術を持っていなかった。










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