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空はもう薄暗くなり月や星が輝きだした。

家にいた、名前も覚えていないような彼女はもうすでに帰してある。

問題はそんな事じゃない。


名前がいない。
さっきまではいたはずなのに。


いつもなら来ない時は連絡があるし、なんだかんだ毎日僕の家に居座っていたものだからいないと少し物寂しい。いや、とても寂しい。いくら彼女以外の女の子と過ごしても、この想いは消えない。僕は、彼女が、好きだ。改めて自覚する。自覚したところで彼女が僕の事を好きになるわけでもないし、僕はすでに後戻りできない所まできている。


なんだか気だるくなって、今日の夕飯はカップラーメンでいいやとリビングへ出向くと、、ぐしゃり。何かを踏んだ。

不思議に思い、しゃがんで拾い上げるとそれは。

映画のペアチケットだった。


ぐしゃぐしゃなそれは僕が踏んでしまっただけではなく、握りしめすぎて爪の形にチケットに穴が空いていて。

あぁ、名前は僕を誘ってくれようとしたんだな、と分かった。他に好きな奴がいるのに、僕をデート紛いな物に誘おうとするなんて、彼女は残酷だ。そんな残酷な彼女だから、僕は自分を守るために避けなくてはならない。しかたがないんだ。


それでも頬に流れるこの涙は止まることを知らない。











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