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名前から衝撃的な事を聞いたその次の日から僕は、彼女と距離をおくようになった。
なんだ、名前、好きな人いたんだ。
妙に落ち着いている自分が怖い。
しかし長年温めてきたこの恋心が呆気なく崩れ去ったのは事実で、もはや名前が誰を好きかなんてどうでもよかった。
これは必然だ、躊躇ってばかりでその場を動かなかった僕の当たり前の結果だ。
でも僕の中のズルい心はそれを認めようとはしない。
「ヒーロトっ♪」
「、莉子ちゃん」
「今日遊ぼぉよー」
「………いいよ、暇なんだ」
僕は"荒れている"のだろうか。今まで一切作らなかった彼女を一週間ごとにお取り替え。一緒に帰る予定だった名前とはあんまり会いたくないから、用事を作る口実に。
一週間たった後、僕が別れを切り出した時の彼女たちの名残惜しそうなその瞳はね、
君の代わりでしかないんだよ、名前。